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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「ラン」の重要性を再認識 スーパーボウルはチーフスと49ersの顔合わせ

2020.1.21 12:03 生沢 浩 いけざわ・ひろし
スーパーボウル出場を決めて喜ぶ49ersの選手たち(AP=共同)
スーパーボウル出場を決めて喜ぶ49ersの選手たち(AP=共同)

 

 2月2日(日本時間3日)にフロリダ州マイアミで開催される第54回スーパーボウルは、カンザスシティー・チーフスとサンフランシスコ49ersの初対決に決まった。

 チーフスは50シーズンぶり3度目、49ersは7シーズンぶり7度目のスーパーボウル出場となる。

 AFC第2シードのチーフスは、カンファレンス決勝で第6シードから勝ち上がって勢いづくタイタンズを一蹴し、NFC第1シードの49ersは第2シードのパッカーズに完勝してカンファレンス優勝を果たした。

 

 49ersのカイル・シャナハンHCは、父のマイク氏もブロンコスで1997~98年にリーグ優勝を果たしており、史上初の親子2代でのスーパーボウル出場という快挙を達成した。

NFCを制した49ersのカイル・シャナハンHC(中央)(AP=共同)
NFCを制した49ersのカイル・シャナハンHC(中央)(AP=共同)

 

 今年のプレーオフはここまでランゲームが鍵を握ってきた。パッシングアタックが全盛のNFLにあってさえ、プレーオフではしばしばランの安定したチームが勝ち進む。今年がまさにそうだった。

 今年のプレーオフを語る上でタイタンズの躍進は外せない。

 レギュラーシーズン最終週にテキサンズに勝ってようやく9勝7敗で第6シードに滑り込んだのだが、ワイルドカードで前年王者のペイトリオッツを、ディビジョナルラウンドで第1シードのレーベンズを倒して勝ち進んだ。

 

 その立役者がRBデリック・ヘンリーだった。今季1540ヤードを走ってリーディングラッシャーとなり、ペイトリオッツ戦では182ヤード、レーベンズ戦では195ヤードを足で稼いだ。

チーフス戦でTDを挙げるタイタンズのRBヘンリー(22)(AP=共同)
チーフス戦でTDを挙げるタイタンズのRBヘンリー(22)(AP=共同)

 同じシーズンのプレーオフで2試合連続で180ヤード以上のラッシングを記録したのはヘンリーが初めてだ。

 まさに「アンストッパブル」の活躍だった。あまりにヘンリーのランが出るので、シーズン中にリーグ最高のパサーレーティング117・5をマークしたQBライアン・タネヒルが、この2試合でともにパス獲得距離が100ヤードに満たなかった。パスを投げる必要がほとんどなかったのだ。

 そのヘンリーがAFC決勝ではチーフスにわずか69ヤードに押さえ込まれてしまった。

 

 チーフスのディフェンスもヘンリーのランをコンスタントに止められていたわけではない。

 しかし、後半の序盤でファーストダウン更新を目指したヘンリーのランが幾度か止められてパントに追い込まれ、チーフスに点差をつけられてしまった。

 タイタンズは第4Qにはキャッチアップを強いられ、ヘンリーのランでオフェンスを展開する余裕がなくなってしまった。これが敗因の一つとなった。

チーフスを率いるアンディ・リードHC(AP=共同)
チーフスを率いるアンディ・リードHC(AP=共同)

 

 NFC決勝では49ersのRBラヒーム・モズタートのランが爆発した。220ヤードのラッシング、4TDの活躍でまさに独壇場だった。

 ヘンリーがパワーを生かしたランで距離を稼ぐのに比べ、モズタートはスピードのある走りでなおかつFBカイル・ユズチェックやTEジョージ・キトルのリードブロックを巧みに利用する。これも49ersのオフェンスの大きな武器の一つだ。

 

 「ランを出せ、ランを止めろ」とは、フットボールでよく言われる鉄則の一つだ。今年のプレーオフはその言葉の重要性をあらためて知らしめるものとなった。

 チーフスもランが強力だ。RBデイミアン・ウィリアムズのみならず、QBパトリック・マホームズも足を使って攻撃を展開する。

自慢の機動力でチーフスをスーパーボウルに導いたQBマホームズ(AP=共同)
自慢の機動力でチーフスをスーパーボウルに導いたQBマホームズ(AP=共同)

 

 スーパーボウルでもランをめぐる攻防は勝敗を左右する要素になるだろう。

 試合までの2週間でどれだけ相手を研究し、それに応じた戦略を立てられるか。王座をかけた戦いはすでに始まっている。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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