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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集長の独り言】=「ライスボウル」

2019.12.27 12:46 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
富士通に敗れ、肩を落とす関学大の選手=2019年1月3日・東京ドーム
富士通に敗れ、肩を落とす関学大の選手=2019年1月3日・東京ドーム

 

 大学日本一を争う「甲子園ボウル」と、翌日に行われた日本社会人Xリーグの王者を決める「ジャパンエックスボウル(JXB)」を観戦した。

 ともに「選手権」と名乗るにふさわしい好ゲームで、アメリカンフットボールの魅力がぎっしりと詰まっていた。

 

 しかし、両ボウルには決定的な違いがあった。それは選手のプレースピードである。

 JXBがデーゲームより比較的選手の動きが速く見えるナイトゲームで実施されたことを考慮しても、明らかに選手のプレースピードには差があった。

 

 年明けの1月3日に東京ドームで開催される日本選手権(ライスボウル)は、今回も学生代表の関学大と社会人代表の富士通が日本一を懸けて対戦する。

 残念ながら、関学大が勝つ可能性は低いと言わざるを得ない。もちろん、常に全力を尽くすことをチームのモットーとする「ファイターズ」は、最後まで諦めず勝利を目指すはずだ。

 

 一番危惧されるのは、選手のけがである。体力差が大きければその危険性は増す。

 ライスボウルの在り方の見直しを提唱する、関学大・鳥内秀晃監督の言葉を借りれば「深刻な事故が起こってからでは遅い」ということになる。

 関学大が勝てば称賛されるだろう。しかし、一方で学生チームが勝つ「可能性」を提示することで生じるジレンマもある。

TDを決める富士通のRBニクソン(上)=2019年1月3日・東京ドーム
TDを決める富士通のRBニクソン(上)=2019年1月3日・東京ドーム

 

 「果たして、ライスボウルはこのままでいいのか」という議論が毎年起きる。

 大会の運営を経済面で支えるスポンサー企業との関係もあり、この問題は一朝一夕では解決しない。

 日本協会は、各地区の学生連盟などとライスボウルの位置づけや将来像について真剣に議論している。長年現場を取材している小欄も、何度か意見を求められたことがある。

 

 結論から言うと、これといった妙案は思い浮かばない。

 学生と社会人が日本一を争う時代ではないという現実を踏まえれば、両者が別の道を歩むのが望ましいという結論になる。

 

 ただ、関学大というチームだけが持つ高い戦略性に、心のどこかで淡い期待を抱いている自分がいるのもまた確かなのである。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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