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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.313

2019.12.19 14:24 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
「チャック・ミルズ杯」を手渡される、立命大のQB荒木優也選手。右は国吉誠・日本協会会長=撮影:横地美佳乃
「チャック・ミルズ杯」を手渡される、立命大のQB荒木優也選手。右は国吉誠・日本協会会長=撮影:横地美佳乃

 

 大学の年間最優秀選手に贈られる「チャック・ミルズ杯」の2019年度の受賞者に、立命大のQB荒木優也選手(4年)が選ばれた。

 甲子園ボウルに出場した大学(今年は関学大と早大)以外のチームの選手が「ミルズ杯」を獲得したのは、史上初めてである。

 

 過去に、甲子園ボウルで敗れた大学から受賞者が出たケースは2度ある。1982年のRB松田明彦さん(当時京大4年)と85年のRB吉村祐二さん(当時明大3年)だ。

 お二人が同じ東京都立富士高校の出身なのは、何かの因縁かもしれない。

 

 1974年に制定された「ミルズ杯」は、その数年前にユタ州立大とウェークフォレスト大を率いて来日したチャック・ミルズ氏の名を冠した賞である。

 ミルズ氏の下でコーチ修行をした、関学大OBの伊角富三氏(関西学生連盟理事長)が提案し、誕生した。

 

 米国には、長い歴史を刻んできた「ハイズマン賞」がある。全米の大学フットボールの最優秀選手は記者、歴代受賞者、一般投票で決まる。

 「ミルズ杯」の場合は、各地区連盟が選出したリーグ最優秀選手がそのまま選ばれる流れになっている。今年の関西学生リーグの最優秀選手は荒木選手だった。

 

 日本では、専門誌「TOUCHDOWN」を創刊した、故後藤完夫氏がハイズマン賞の投票権を持っていた。

 後藤氏は日本の殿堂入りを果たし、来年1月3日の日本選手権(ライスボウル)のハーフタイムに、他の顕彰者とともに表彰される。

 

 甲子園ボウル終了後、スーツ姿の荒木選手は松葉杖をついて表彰台に上がった。関学大との激戦で痛めた脚は、ギプスで固められていた。

 これまでとは違う光景に、スタンドは一瞬静まりかえったが、すぐに球場全体から温かい拍手が送られた。

関学大との試合でパスを試みる、立命大のQB荒木優也選手=撮影:山口雅弘
関学大との試合でパスを試みる、立命大のQB荒木優也選手=撮影:山口雅弘

 

 最後に、荒木選手の表彰式後の談話を紹介する。

 「できれば、ユニホームを着てこの舞台に立ちたかった。複雑な気持ちだが、自分のパフォーマンスというより、今年のオフェンスメンバー全員でもらった賞だと思っている」

 

 4年間、甲子園ボウルをスタンドから見てきた悔しさをにじませながら、自分を守ってくれたOL、パスを受けてくれたレシーバー、信頼してボールを手渡したRBへ、感謝の言葉を口にした。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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