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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.311

2019.12.5 12:00 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
甲子園ボウル出場を決め選手、スタッフに話しかける関学大のDL寺岡芳樹主将(52)=撮影:武部真
甲子園ボウル出場を決め選手、スタッフに話しかける関学大のDL寺岡芳樹主将(52)=撮影:武部真

 

 関学大のように洗練され、たくさんの引き出しを持ったチームに、1シーズンで2度勝つのはとても難しいことなのだとあらためて思った。

 12月1日に大阪・万博記念競技場で行われた、全日本大学選手権西日本代表決定戦は、リーグ戦で敗れた関学大が立命大に雪辱し、4年連続53度目の「甲子園ボウル」出場を果たした。

 

 試合はネット中継で観戦した。同じ日に横浜スタジアムで、関東大学1部BIG8の日大―桜美林大があり、現場取材はそちらを優先したからだ。

 関学大は、第1クオーターにRB三宅昂輝選手の2TDランで優位に立ち、守備陣が立命大の生命線であるラン攻撃を封じて快勝した。

 2017年シーズンに続き、勝利の女神は先勝した立命大に2度ほほ笑むことはなかった。

 

 関学大と立命大。この2校の対戦は、国内の大学レベルでは最高峰と言っていい。

 試合前の準備、選手の精神と肉体のピークをいかに決戦当日に合わせるかなど、総合力を競うアメリカンフットボールという競技にふさわしい醍醐味を両者の攻防で味わうことができる。

 

 関学大には、どうしても負けられない理由があった。鳥内秀晃監督が、チームを率いて28シーズン目の今季限りで勇退することが決まっているからだ。

 そうしたエモーショナルな要素は、ここ一番で選手の思わぬ力を引き出す原動力になる。

 

 一方の立命大にも、何が何でも勝ちたい理由があった。負ければ4年連続で甲子園ボウル進出を逃すことになり、大舞台を知る学年がいなくなるからだ。

 しかし、試合は一方的な展開と言える形で時間が過ぎていく。21―10のスコアが、関学大の思惑通りにゲームが進行したことを示している。

 

 リーグ戦で立命大に敗れた後、2試合を消化してライバルとの再戦に漕ぎ着けた関学大。3週間の準備期間を与えられた立命大の優位は動かないと思われたが、その間のチーム作りは周囲が考えるほど簡単ではなかったのではと推察する。

関学大に敗れた立命大の試合後のハドル=撮影:武部真
関学大に敗れた立命大の試合後のハドル=撮影:武部真

 

 「勝者と敗者のコントラスト」は、残酷なまでにはっきりしている。

 信頼するカメラマン氏から送られてきた写真には、それが一目で分かる光景が鮮明に映っていた。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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