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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「タモン式」の優等生に期待 ノジマ相模原RB東松、森本の両選手

2019.11.7 10:16 中村 多聞 なかむら・たもん
「ワイルドキャット・フォーメーション」のQBを務めた東松選手(右)とボールを手渡されたRB森本選手=撮影:Kohei SAEKI
「ワイルドキャット・フォーメーション」のQBを務めた東松選手(右)とボールを手渡されたRB森本選手=撮影:kohei SAEKI

 

 僕がRBコーチをしている、Xリーグのノジマ相模原ライズが、今シーズンようやく初勝利しました。

 アメリカ人QBロックレイが負傷で出場できないことが判明し、なおかつセカンドQBが仕事の都合で第3Qからの参加になるという最悪の事態を迎えた土日の練習で、RB東松に須永ヘッドコーチ兼オフェンスコーディネーターからこんな命令が下りました。「トーマツ、ワイルドキャット(フォーメーション)の練習をしとけ!」―。

 

 周りはゲラゲラ笑いながら励ますものの、当の本人は大変です。今までは作戦を耳で聞いて実行していましたが、今度はサイドラインにいるコーチからのサインを読み、ハドル内で自分が発声してみんなに伝えなくてはなりません。

 今まで経験してきた試合中の流れやルーティンが崩壊する上に、責任も重大でプレッシャーは大変なものだったでしょう。

 しかし試合ではそれなりに形を保ち、パスもエースレシーバー八木に1度だけですが通すこともでき、本人も今シーズン一番多く走ることができました。

 

 試合を終えた本人の話を紹介します。

 「QBをやることは、全く新しいスポーツをやるくらい大変なことでした。今朝、プレッシャーでスタジアムが崩れないかな、試合中止にならんかな、休もうかなと思うくらいでした。緊張で手の震えが止まらない中、いろいろなことを考えていると、試合直前の整列中に多聞さんから『なに緊張しとんねん。お前に期待なんかしてへんわ!』と、なんとも優しいお言葉をいただき、あ、そっかとなり緊張が解け、そのあとは必死にプレーしていただけなので、試合の細かいことは全然覚えていないんです…。でも、チームの今季初勝利に貢献できたのは嬉しいです!」

 

 また、この試合の対戦相手のエレコム神戸から今年移籍してきたRB森本(26番)

にも初スターティングメンバーとして、ほとんど一人でフル出場という重責も担ってもらいました。

 27回ボールを持って120ヤードと一つのTDを記録。須永ヘッドコーチの期待した仕事をキチンと果たしました。

 

 平均4ヤードの獲得ですが、小差の試合では平均6ヤードは取ってもらいたいのが我が「タモン式RB養成所」の課題ですので少し不満です。このような機会がまたあれば、きっと目標を達成してくれることでしょう。

 

 また、このQB役の東松、そしてRB森本はともに、東京の日大三高から立命館大を経てノジマ相模原ライズでプレーしています。

 タモン式に触れて4シーズン目の東松は、これまで指導した中で最も理解度の高い選手の一人ですので、直系の後輩である森本にもそのノウハウがしっかりと注入されており、非常に高いレベルでタモン式、つまりアメリカ人のフットボールを実践していける可能性のある優秀な若手です。

 

 フットボールは体重制限のないスポーツですので、体が小さいと不利な点も多くありますが、体の大きさや強さだけで試合を支配できるわけではありません。

 「タモン式」の優等生として「強さ」「速さ」「巧さ」「賢さ」をしっかり身につけて、大きなゲームで「記憶」にも「記録」にも残る選手になってもらいたいですね。

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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