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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.303

2019.10.11 10:52 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
駒大との試合後、両親の激励を受ける日大のOL三井太賀選手=日大下高井戸グラウンド
駒大との試合後、両親の激励を受ける日大のOL三井太賀選手=日大下高井戸グラウンド

 

 10月6日の関東大学リーグ1部BIG8の日大―駒大が行われた日大の下高井戸グラウンドは、さながら「ホームカミングデー」といった賑わいで、観客だけでなく多くの日大OBが足を運び、現役のプレーを見守った。

 日大の副将を務めるOL三井太賀選手の父・良彦さんもその一人だ。

 

 大阪出身の三井選手は、父親に憧れ「フェニックス」に入部した。

 良彦さんが在学中は、雨が降ると足首まで埋まってしまう泥田のようだったグラウンドには、今は緑が鮮やかな人工芝が敷き詰められている。

 訪れる度に時代の流れを感じさせる環境の変化は、息子の成長とともに眩しく見えたようだ。

緑が鮮やかな人工芝が敷き詰められた日大下高井戸グラウンド
緑が鮮やかな人工芝が敷き詰められた日大下高井戸グラウンド

 

 公式戦への出場資格停止処分を受けた昨シーズン。当時3年生だった三井選手は最上級生になり、今季はチームを牽引する立場にある。

 

 昨年11月、社会人チームとの練習試合の後、三井選手はゲームキャプテンとして報道陣の質問にこう答えた。

 「来年(2019年)は日本一になることはできないが、日大というチームはこれから何十年も続いていく。ここで終わらせてしまうわけにはいかない」

 

 父親から受け継いだ182センチ、112キロの堂々たる体格。リーダーとしての資質も備えている好漢の言葉には、チーム全員の思いが込められていた。

 

 自らも出場した「甲子園ボウル」を、主力選手として我が子にも経験させたいと思うのは、当然の親心である。

 それがかなわなくなり、一時は留年させることも考えたという良彦さんだが、今は後輩のために必死で努力する息子の姿に誇りを感じている。

 

 難しい舵取りを担う日大・橋詰功監督は駒大戦の後、「もっとできるはずだ」という意味の言葉で学生に一層の奮起を促した。

試合後のハドルで学生に話しかける日大の橋詰功監督=日大下高井戸グラウンド
試合後のハドルで学生に話しかける日大の橋詰功監督=日大下高井戸グラウンド

 実質2部リーグのBIG8。いくら頑張っても日本一を狙えないフェニックスにとって、モチベーションの維持は今シーズン最大のテーマである。

 

 どこか温かい響きのある「ホームカミングデー」は、現役の学生たちを思いやるOBにとっても、心に残る一日になった。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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