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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

1990年以来となる開幕4連勝 今季好調の49ers

2019.10.9 13:35 生沢 浩 いけざわ・ひろし
49ersの攻撃をリードするQBガロポロ(AP=共同)
49ersの攻撃をリードするQBガロポロ(AP=共同)

 

 「強い49ers」が帰ってきた。

 日本でもファンの多いNFLの49ersが、1990年以来となる開幕4連勝でついにNFC西地区の単独首位に立った。

 開幕からわずか1カ月で昨年と同じ勝利数を稼いだことになる。シーズン前にこの快進撃は予想できなかった。

 

 この地区は前年のスーパーボウル出場のラムズに、世代交代の成功で勢いを復活させたシーホークスがどう挑むかが注目ポイントだった。

 しかし、現実は49ersをシーホークスが1敗で追い、ラムズは早くも2敗するなど苦戦している。

 この強さは本物か。ファンですら、こう問わずにはいられないのではないだろうか。

 

 疑う材料はいくつかある。これまで対戦した4チームのうち開幕戦のバッカニアーズを除いてすべてが、今季不調のAFC北地区のチームが相手で、いずれも負け越し中であった。

 プレーオフを占う上で重要なディビジョン対決はまだなく、カンファレンス内の対戦もバッカニアーズだけだ。

 つまり、ほかのNFCチームと勝率が並んでプレーオフの出場権やシード順位を争うことになった場合に、現在まで稼いでいる白星のほとんどが有利な材料とならない。

 

 それでも、NFLで4試合連続で勝利するのは至難の業だ。そして、今年のNFLでいまだ無敗なのは49ersと前年度スーパーボウル王者のペイトリオッツ(5勝)だけなのだ。

 ここまでの快進撃が「まぐれ」ではない根拠は三つある。一つはカイル・シャナハンHCのオフェンスシステムが3年目にしてようやくチームに浸透してきたことだ。

 シャナハンHCはランを重視する一方で、ランフェイクからのプレーアクションパスを得意とする。

 プレーアクションパスはランプレーやOLのブロッキングスキームが多彩であるほどディフェンスをだましやすい。そのため、シャナハンHCはオフェンスの11人に複雑な動きを要求する。このシステムが各選手の中でうまく消化されていて混乱がない。

 

 QBジミー・ガロポロは機動力があるので、それを生かしつつユニット全体をうまくリードする。

 RBマット・ブリーダはOLやFBカイル・ユーズチェックのブロッキングをよく読んで走路を見つける。

 TEジョージ・キトルを中心としたレシーバー陣はキャッチング能力が高く、ガロポロのスクランブルにもうまく対応する。

ブラウンズ戦でTDを挙げた49ersのTEキトル(AP=共同)
ブラウンズ戦でTDを挙げた49ersのTEキトル(AP=共同)

 これら一連の動きに乱れがないのは、全員がオフェンスのフィロソフィーを十分に理解している証拠だ。

 

 二つ目の理由はパスラッシュが強くなったことだ。第5週のマンデーナイトゲームではこのパスラッシュがブラウンズのQBベイカー・メイフィールドを完全に封じた。

 新人DEニック・ボーサはNFL初サックを記録するなど大暴れだった。メイフィールドはTDパスなしに終わり、昨年の第4週から続いていた先発デビューからの連続TDパス記録は歴代2位の17でストップした(NFL記録はカート・ワーナーの23試合)。

 

 最後に勝ちパターンが増えたことを挙げておきたい。

 一昨年シーズン途中のトレードで入団したガロポロがスターターとなってから、49ersのオフェンスはガロポロ頼みだった。

 ガロポロの正確なパスで活路を見いだし、勝ってきた。昨年はそのガロポロが開幕直後に故障してしまい、それが低迷に繋がった。

 ブラウンズ戦のガロポロは不調だったが、それを補って余りある活躍をしたのがブリーダだった。

 強いチームというのは誰かが不調な場合でも別の選手が代わりに活躍するものだ。それが今の49ersにはある。

ブラウンズ戦でQBサックを記録するなど活躍した49ersのDEボーサ(AP=共同)
ブラウンズ戦でQBサックを記録するなど活躍した49ersのDEボーサ(AP=共同)

 

 第6週は同地区ライバルのラムズと敵地ロサンゼルスで対戦する。今季の対戦では最も手ごわい相手となる。

 連敗中のラムズはこれ以上負けるわけにはいかず、必死で準備をしてくるだろう。

 前週がサーズデーナイトゲームだったために49ersよりも3日多く試合間隔が空くのもラムズにとって有利だ。この試合が今季の49ersの実力を測るいい機会となる。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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