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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「毎日全力を出し切る」 それが本当の意味で青春を謳歌すること

2019.10.3 11:00 中村 多聞 なかむら・たもん
中村多聞さんの指導を受ける「タモン式RB養成所」の門下生たち
中村多聞さんの指導を受ける「タモン式RB養成所」の門下生たち

 

 秋のシーズン本番になり、僕の関心がチーム内部や対戦相手に向いてしまうため、話したり考えたりする事柄が外部に出してはならない作戦やチーム事情ばかりでコラムが書けない日々が続いております。楽しみにしていただいている方には、大変申し訳なく思っています。

 

 3年前「うまくなりたいと心から願っている選手のサポートをする」をテーマに、フットボール界へ指導者として戻って参りました。

 そして僕のようにそれほどの才能がなくても、コツコツ努力を重ねて運が巡ってくるのを待っていれば目標が叶う事もある。トロフィーが手に入るかどうかは誰にも分からないけれど、頑張っている選手には「目標を達成する」「応援してくれた人を喜ばせる」というスポーツマンとしては最上級の気分を味わってもらいたい、という思いで活動しています。

 

 しかし、フットボールチームは多くの人が参加しているのでいろんな考えの人が存在します。

 僕が選手として日本で所属したチームは大学1、社会人3です。大学は3部リーグの弱小チームではありましたが、その枠組みやレベルの中ではレギュラーも補欠も関係なく学生時代に持っていたエネルギーのほとんどを費やしていました。

 あまり頑張れない人もいました。日本選手権を目指すレベルと比較すると「大して頑張っていない」となりますが、浅く薄いフットボール知識の中で僕たちが一番輝ける場所としてそれなりの誇りを持って活動し、日々活動していました。

 

 大学の授業で学ぶことより、大学の外で遊ぶことより、将来の夢に希望を持つことより、今のフットボールを最も重要な事としていました。

 内容や結果はお粗末でしたが、気持ちだけは〝プロフェッショナル〟だったと思います。

 

 社会人になってからも、実力がリーグのレベルより高い位置にいる選手は遊びや生活を優先する確率が高く、全く遊ばず未来も考えず貧乏をしてでも上を目指すなんて人は少なかったように感じます。

 選手として最後に参加したチームは実力の高い独身の若い選手ばかりで構成されていた上に、カリスマヘッドコーチが全員の意識を一点に集中させていましたので、遊びや仕事優先の選手は僕の知る限りいませんでした。

 個人の好みや都合はチーム運営に影響を与えるほどではなく、全員が同じ方向を向いていたのです。時代ですねー。皆が純粋でした。

 

 前述したように多くの人で構成されるのがフットボールチームですから、いろんな考えの人がいるのは当然ですし、現在は多様化の時代だそうでさまざまな考えがあるのも当然でしょう。

 ただ「それが正しければ」という縛りは残ります。チームの存在意義を冷静に考えてみると、選手個人個人が満足のいく日々を過ごすことではありません。ズバリ、リーグ優勝でしょう。

 

 フットボールをしている理由が不明瞭な人も多く存在します。「タモン式RB養成所」では、最初に必ず個人面談で目標や活動の理由を聞くようにしています。

 真っ直ぐ前を向いて「自分が大活躍して優勝したい!」という人や「え、目標ですかー?  えーと、レギュラーになりたいですー」と答える人といろいろです。

 

 具体的な目標を即答できない人は、技術や理論の習得が遅いことは言うまでもありません。

 その理由はあらゆる書物や文献で証明されていますので、皆さんは僕などよりよほどご存知のことでしょう。

 ただ、僕は残念ながらそのような曖昧な心持ちの人を上達させるノウハウは持ち合わせていないのです。

 気持ちが低レベルな選手が業界をリードするような選手になれるはずがありませんし、これはそれほど間違った考え方ではないと思っています。

 

 現在と過去に数名だけ存在する「タモンコーチ。僕が日本一の選手になるために、今日は何をどれだけすればいいのでしょう?」と言う気概を持って、24時間365日質問攻めにしてくる人のサポートがしたくて始めたのがコーチとしての活動なのです。

 

 チームに所属する理由は「何となく誘われたから」「合コンでトップリーグの選手だと言いたいから」「(学校の)単位がもらえるから」「就職に有利だから」「友達がやっているから」といった選手は、目の前の苦難を乗り越えることが毎回大仕事になってきます。

 「気まぐれで脆弱なモチベーション」は長続きしません。うまくいかないことがたくさん出てくれば、即刻諦めて逃げ場を探します。

 

 リーグのトップを目指すのであれば、楽な道など探し当てることはほぼ不可能で、苦難を乗り越え続けることを喜びに変えるしか方法はないと思うのです。

 近年は現役続行可能年齢が高くなってきたとはいえ、20代の時より40歳の時の方が速く強くなり続けているなどということは考えにくいでしょう。

 

 向上し続ける体力と気力に技術をミックスし、成熟された高いレベルでプレーできるのは人生でほんの数年間です。

 体力が下降し始める晩年は、過去に培ってきた技術と経験で体力の消耗などを上手にやり繰りしているにすぎません。

 

 しかし、ほとんどのプレーヤーは若くはつらつとしていますが一方で未熟です。

 正しい取り組みを継続すれば確実に成長するのに、甘い誘惑や間違った方法に注意をそらされてしまいがちです。

 

 「自分にはあと何が足らないか?」と質問してもらえれば、個人個人に合った最短ルートを示して差し上げます。

 自分で一生懸命考えてから是非尋ねてほしいと思います。「タモン式RB養成所」の門下生であれば、いつでも話せる環境なのに「昨日の自分のプレーがどうだったか?」しか質問してこないんですねー、残念ながら。

 

 プレーヤーの皆さん。毎日全力を出し切って、本当の意味で青春を謳歌してください。 しっかり頑張った人には明るい未来が待っていますよ!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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