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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ノートルダム大がバージニア大に勝つ ワシントン大は南加大押し切る

2019.10.2 13:09 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
ボールを奪い合うネブラスカ大CBテイラー(左)とオハイオ州立大WRヒル(AP=共同)
ボールを奪い合うネブラスカ大CBテイラー(左)とオハイオ州立大WRヒル(AP=共同)

 

 2週連続してランク校と対戦する、などというのはそのチームにとってやはり大変なことである。

 9月28日の第5週、APランキング10位のノートルダム大は、前週のジョージア大との試合に続いて18位のバージニア大と対戦し35―20で勝った。

 この日はランク校同士の対戦がもう1試合あって、17位ワシントン大が21位の南加大を28―14で退けた。

 

 ランク外のチームがランク校を倒す〝波乱〟は2試合で、まずアリゾナ州立大が15位のカリフォルニア大を24―17で破り、オクラホマ州立大が24位のカンザス州立大を26―13で倒した。

 番狂わせではないが、これまでランキングの首位を堅く守ってきたクレムソン大が、所属する大西洋岸連盟(ACC)のリーグ戦に入った途端、ランク外のノースカロライナ大に食い下がられて大苦戦、21―20の1点差で辛勝した。

 

 クレムソン大が全米ランキングのトップに指名されているのは、ポジションごとの順位付けで、誰もが全米1位と認める優れたQBを保有していたからにほかならない。

 そのQBはトレバー・ローレンスという。まだ2年生。しかし、昨シーズンの1年生当時から評価は抜群で、こうした新人を「オールアメリカ」に据えることの是非が、まじめに議論されていたほどである。

 だから今季は当然のことながら、彼をオールアメリカのQBに推した予想専門誌は多かった。

 

 リーグが違えば「全米級だってよ」の一言で片づけることもできるが、同じリーグのノースカロライナ大にとってはそうもいかない。

 クレムソン大はアトランティック、ノースカロライナ大はコースタルと地区こそ違え、同一連盟に所属している点では、顔を合わせることになるライバルとして無視はできなかった。ノースカロライナ大の善戦は、そうした意欲の表れと思いたい。

 

 試合はノースカロライナ大がTDを先取。第2Qにクレムソン大が2TDを挙げると、ノースカロライナ大も1TDを奪って、14―14の同点で前半を終えた。

 盛り上がったのは互いに無得点の後の第4Q。残り9分54秒にクレムソン大はQBローレンスがゴール前38ヤードからWRティー・ヒギンズへ鮮やかにパスを決めて、貴重な7点を挙げた。

 このまま終わるかに見えたゲームだったが、ノースカロライナ大は残り1分17秒にTDを返し、2点のTFPに出て逆転勝ちを狙った。

 しかし、ノースカロライナ大の1年生QBサム・パウエルのパスはWRダズ・ニューサムへ通ったものの、クレムソン大守備陣にサイドラインへ押し出されて、2点コンバージョンはならなかった。

 

 9月の半ばを過ぎると、同一組織内でのいわゆる「リーグ戦」が増えてくる。いずれも順位に直結する厳しいカードが多い。

 これから語るのもほとんどがそれだ。まず先述したACCのリーグ戦のほか、太平洋12大学(Pac12)のリーグ戦が盛り上がった。

 ランク15位のカリフォルニア大が迎えたアリゾナ州立大はランク外のチームだったが、互角の試合となった。

 3Qに互いに1TDずつを挙げ、14―14で勝負は第4Qに持ち込まれた。そして残り4分41秒、アリゾナ州立大はエースRBイーノ・ベンジャミンが、ゴール前3ヤードからエンドゾーンへ駆け込んで勝負を決めた。

 最初に触れたが、カンザス州立大とオクラホマ州立大の試合もビッグ12のリーグ戦だったことを付け加えておく。

 

 また思い出話になるが、これらのゲームを番狂わせとして見るのが、筆者にはちょっと引っ掛かる。

 ACCではその昔、ノースカロライナ大がリーダーだった時期もある。アリゾナ州立大が実力を伸ばして、ロサンゼルスの東から西へ向かい、当時の太平洋8大学の真ん中に立ち現れたころ、カリフォルニア大はランクとは縁遠い存在だった。

 ビッグ12の両校もこれらの例と同様である。この週敗れたチームがかつては強かった、などという話をいくら繰り返しても、これはもう年寄りの繰り言でしかない。

 

 余談はさておき、ランク校との連戦となったノートルダム大はバランスのいい戦いぶりで、バージニア大の挑戦を退けた。

 攻撃のそつのなさと守備の安定した動きが、バランスの良さに結びついているのだという。

 

 第1Qに早々と2TDを先取しているが、このうちの一つが守りからだったことを強調しておく。

 守りの中心にいたのはDEジュリアン・オクワラ。鋭い突っ込みからこの試合では8QBサックを記録したが、このうち三つを第1Qに記録している。

 第1Qに挙げた2TDのうち一つがオクワラのもので、相手に強烈なタックルを浴びせてファンブルを誘い、それを拾ってのリターンTDだった。

 

 ノートルダム大はもともと華麗なオフェンスで知られているが、守備の力強さもかくの如し。なおこの試合、バージニア大がトータル343ヤードを記録しているのに対し、ノートルダム大は228ヤード止まり。

 だが、リターンなどの数字を加えると、100ヤード強がプラスされ、338ヤードがノートルダム大の獲得距離だとする論調もあって、勝因の詮索は例によって騒がしかった。

 

 Pac12でのもう一つのランク校対決はワシントン大が南加大を圧倒した。

 私が米カレッジフットボールに手を染め始めたころは、間違いなく南加大の全盛期で「Pac8」も南地区、つまりカリフォルニア勢が北のワシントン、オレゴン勢を毎年のように圧倒していた。

 その中心にいたのが、南加大だし、カリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)だった。

TDパスをキャッチするUCLAのTEリンチ(81)(AP=共同)
TDパスをキャッチするUCLAのTEリンチ(81)(AP=共同)

 

 この試合、ワシントン大がパスインターセプトを糸口に、自陣奥深くからたくましいロングドライブ。これでまず先行し、続けてもう1TD。第1Qに幸先よく14点を奪うと、あとはワシントン大の一方的ペース。そのまま28―14で南加大を押し切った。

 

 このほか南東リーグ(SEC)では、2位のアラバマ大がミシシッピ大に59―31と大差をつけて貫録勝ちした。

 ビッグ10では5位オハイオ州立大が48―7とネブラスカ大を寄せ付けなかった。

 ビッグ12では6位オクラホマ大がテキサス工科大に55―16の大勝。SECの7位オーバーン大は56―23でミシシッピ州立大を下した。ビッグ10で8位のウィスコンシン大は24―15でノースウエスタン大を下した。

 

 9月を終え、大した理由はないのだが東西、南北の平均化がこの先さらに続いていくように感じる。10、11月でいかなる勢力分布図になるのか注視していきたい。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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