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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.301

2019.9.26 11:52 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
神奈川大とのリーグ戦、サイドラインで試合の記録をメモする日大のDL宮川泰介選手=9月21日、富士通スタジアム川崎
神奈川大とのリーグ戦、サイドラインで試合の記録をメモする日大のDL宮川泰介選手=9月21日、富士通スタジアム川崎

 

 防具を着け、シューズの上からはがっちりテーピングを施し試合への備えはできている。しかし、彼がフィールドに出てプレーすることはない。

 日大のDL宮川泰介選手(4年)は9月、「フェニックス」の一員として秋のリーグ戦を迎えた。

 

 昨年5月の関学大との定期戦(東京)で「危険な反則タックル」をしてしまった当時3年の宮川選手に対し、警視庁は傷害容疑で書類送検。地検に判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。

 危険なタックルで負傷した関学大の選手側との間では示談が成立しているので不起訴になる見通しだ。

 だが、検察の判断がまだ示されていないため、関東学生連盟から公式戦への復帰を認められながら試合への出場を自粛している。

 

 日大は実質の2部リーグに相当する関東大学リーグ1部BIG8で、2シーズンぶりに公式戦に復帰した。

 9月7日は青学大、同21日は神奈川大と対戦しともに快勝。1部BIG8で2位以内に入り、1部TOP8の下位チームとの入れ替え戦(チャレンジマッチ)に勝てば、来季から大学日本一を決める「甲子園ボウル」への道が再び開ける。

 

 リーグ戦はあと5試合。チャレンジマッチに出たとしても、日大の今シーズンの残り試合は6しかない。

 開幕からの2試合、宮川選手はチームエリアの端で試合の状況をメモする「記録員」として試合に参加している。

 

 「普段の練習はみんなと同じようにやって、試合の時はお休みということ。今は検察の判断を待つしかない」

 昨年9月に就任した橋詰功監督は、一時競技続行を断念した宮川選手に学生とともに寄り添ってきた。

 

 宮川選手は昨年5月、日本記者クラブで「顔を出さない謝罪はない」という強い意志を持って記者会見に臨み、集まった350人の報道陣の前で真摯に反省の言葉を口にした。

 どんな理由があってもルールを無視した反則行為は決して許されないが、潔い姿は世間の共感を呼んだ。

 

 関東学連のイヤーブックに載った宮川選手の名前の横には「副将」を示す丸印が付いている。

 「91番」が試合前のコイントスのためにフィールド中央に歩を進め、クリーンに全力でプレーする。

 「その日」が訪れることは、チーム全員の願いでもある。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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