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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.300

2019.9.19 14:47 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
IBMとの開幕戦の後、インタビューに答える富士通のLB山岸明生選手=8月24日・富士通スタジアム川崎
IBMとの開幕戦の後、インタビューに答える富士通のLB山岸明生選手=8月24日・富士通スタジアム川崎

 

 2016年12月4日。関学大と立命大が「甲子園ボウル」出場を懸けて対戦した大阪・万博記念競技場は雨が降っていた。

 雨は互いの戦術に微妙に影響を及ぼし、不測の事態が試合の流れを変える。

 難しい条件の中、両者はライバル対決にふさわしいハイレベルの攻防を展開。結果は関学大がリーグ戦に続いて勝利、前年の雪辱を果たした。

 

 競技場のスタンド下の通路で、当時の関学大・山岸明生主将はぬれた体から蒸気を発しながら記者の質問に丁寧に答えていた。

 シーズンはまだ続くが、ここまで自分についてきてくれた同級生や下級生に感謝し、相手への敬意も口にしていた。

 

 関学大の主将は、伝統的に立候補制だ。シーズン終了後に手を上げた新4回生が、話し合って翌シーズンのリーダーを決める。

 現在、Xリーグ富士通の主力LBとしてプレーしている山岸選手は、200人を超えるチームの先頭に立っていた学生時代をこう振り返る。

2016年の甲子園ボウルの第4クオーター、早大のRB須貝選手(28)をタックルする関学大のLB山岸選手(47)=甲子園
2016年の甲子園ボウルの第4クオーター、早大のRB須貝選手(28)をタックルする関学大のLB山岸選手(47)=甲子園

 「言葉は大切だが、背中で仲間を引っ張れるキャプテンを目指した。コーチやOBの方たちからも、頼れる4回生は後ろから見てもオーラが出ているものだと聞いていた」

 

 プライベートで食事に付き合ってもらったことがある「山岸君」と久しぶりに会ったのは、8月24日に川崎で行われたIBMとの開幕戦。東京生まれの東京育ちの彼は、学生時代の流ちょうな関西弁がすっかり影を潜めていた。

 「けがも治ったので、今シーズンはやりますよ。LBとしてチームの柱になりたい」。その言葉通り、第2節終了時点でタックル数はリーグトップの11・5を記録している。

 

 大所帯になれば、チーム内に温度差が生まれるのは仕方がない。その中で主将、副将、主務の学生幹部はどう振る舞えばいいのか。

 頭ごなしに目標に向かって努力しろと言われても、なかなか組織としてはまとまらない。

 「覚悟を行動や佇まいで示し、みんなに協力してもらう雰囲気づくりが必要なのだと思う」。経験者の言葉は説得力がある。

 

 「ファイターズ」の鳥内秀晃監督は、指揮を執って28年目の今季限りで退任する。4回生が、勝って恩に報いたいと考えるのは当然だ。

 リーグ戦の2試合は、低調な印象を受けた。今季のファイターズが、少しだけ気合いが空回りしているように見えるのは小欄の気のせいか。

 

 9月21日には、伝統の京大戦を迎える。

 精神的な部分でのチーム状況を見極める上で格好の相手となる宿敵との大一番。当日の天気予報は雨である。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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