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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

BYUが南加大破る アラバマ大は貫禄勝ち 米大学フットボール

2019.9.17 14:40 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
アラバマ大のDB陣に囲まれながらTDパスをキャッチするサウスカロライナ大のWRスミス(中央)(AP=共同)
アラバマ大のDB陣に囲まれながらTDパスをキャッチするサウスカロライナ大のWRスミス(中央)(AP=共同)

 

 8月24日のフロリダ州立大とフロリダのマイアミ大の開幕戦から数えると、今季も早や、第4週となる。

 9月の第2週はほとんどランキング校同士の対戦がなく、ベスト25はランク外チームの挑戦を受けた。

 

 このあたりを中心にして、取り上げる試合を選び出している筆者としては、少々困ることが出てくる。

 たとえば番狂わせが少なくて、ピックアップする試合の選定に手間取る。またランク校がそれぞれに試合をするので、いつもより試合数が多く、その点検に時間がかかるなどなどだ。そのような理由から、この週は点検が必要な試合は25、6を数えた。

 

 正直言うと、いつもはランク校同士の「注目のカード」を引っ張り出して点検すれば、柱となる試合も決まり、これに幾つかの話題に富んだ試合などを組み合わせれば「はい一丁上がり」だった。

 しかし今週はそうはいかない。ランク校が苦しめられた試合は、敗れた試合はと一つずつ点検せねばならない。

 確かにこの日、ランキング上位はそれなりの貫禄を見せて、チャレンジャーを一蹴する試合が多かった。

 

 ランキング首位のACCクレムソン大は、同リーグのシラキュース大のホームへ乗り込んで、41―6と寄せ付けなかった。

 南東リーグ(SEC)西のアラバマ大もランク2位の実力そのままに同リーグ東のサウスカロライナ大に楽勝した。

 ランク3位でSECのもう一つの優勝候補ジョージア大は格下のアーカンソー州立大を55―0と完封した。

 SEC西の強豪でランク4位のルイジアナ州立大(LSU)も、65―14と格下のノースウエスタン州立大に大勝した。

 

 5位はビッグ12の雄オクラホマ大だが、太平洋12大学の名門カリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)を48―14であっさりと退けた。

 6位でビッグ10東の雄オハイオ州立大は同リーグ同地区のインディアナ大を大差の51―10で下した。7位の独立校ノートルダム大は、山岳西部連盟(MWC)のニューメキシコ大を迎えて66―14と圧倒した。

 

 8位でSEC西のオーバーン大は55―16で中部アメリカン連盟(MAC)のケント州立大を下した。この日はここまでぐらいが、ランキング校の順当勝ち。以下は波乱と言っていいかもしれない。

 9位のSEC東地区フロリダ大が29―21で、同リーグ同地区のケンタッキー大と接戦を演じているが、これなどはその一例かもしれない。

 

 そこで苦戦めいたものを少し拾ってみる。13位でビッグ10東のペンシルベニア州立大はACCのピッツバーグ大に17―10と苦しんだ。

 17位でアメリカン体育連盟(AAC)のセントラルフロリダ大は45―27とPac12のスタンフォード大に苦戦した。

 このあたりからランク校の黒星が起きてくる。この日は3試合だった。18位でビッグ10東のシガン州立大はPac12南地区のアリゾナ州立大に7―10で競り負け、ビッグ10東でランク21位のメリーランド大が、AACのテンプル大に17—20で敗れた。

 三つ目の波乱、独立校のブリガムヤング大(BYU)がPac12の南加大を倒したゲームもまた30―27と3点差だった。

 

 そこで、ここは南加大の敗戦を語る。登場の順序に疑問を持つ向きもあろうが、半世紀以上の昔から大学フットボールに親しみ、紹介を続けてきた一人の人間、一人の新聞記者として、やはりこの順番は譲れない。

 だってそうでしょう。カレッジフットを紐解いて、ランキングを説明し、リーグを一つずつ紹介し、戦い方、つまりスケジュールとそのやり方を披露してきた人間として、強いチーム、目立つチームからピックアップするのは理の当然だった。

 

 今日でこそランキング24位と振るわないが、私がカレッジフットを手掛けた当時は、南加大は主役だった。

 米西海岸カリフォルニア州の雄は全米を席巻し、その卒業生はプロのNFLにあふれていた。

 

 まずユタ州プローボのラベルエドワーズ・スタジアムに南加大を迎えたBYUは、安定した守備を誇っていた。

 後手に回った南加大は試合終了1分43秒前に、キッカーのチェイス・マクグレースが52ヤードのFGを決めて27―2と追いついた。

 延長戦の前半、BYUは2年生のQBザック・ウィルソンが自陣25ヤード線から見事なドライブを繰り出して、南加大陣26ヤードまで球を進めた。

 

 そしてこの地点からの43ヤードのFGをジェイク・オールドロイドが決めて、0―27とリードを奪った。

 南加大は猛然と反撃に出た。しかしBYUは守備のリーダーでSSのダイアン・グアンウオ―ロクが巧みな身のこなしでインターセプト。南加大の勢いをそいだのが大きかった。

 延長後半はBYUが堅い守りで南加大を抑え込み、勝利をつかんだ。BYUにとっては第2戦でテネシー大とも接戦を繰り広げて延長にもつれ込み、29―26で勝ったのに続く延長戦の勝利だった。

 

 AACのテンプル大はQBアンソニー・ラッソのパスが冴えた。277ヤードを稼ぎ、3本のTDを記録してこの日の立役者となった。

 合わせて守備陣のゴール前での堅守も光り、メリーランド大にはセーフティー2本を許したもののTDは2本に抑え、20―17で勝った。

 攻守両面でメリーランド大を圧倒したテンプル大は、イリノイ大から迎えたロッド・コーリー新監督に初白星をプレゼントした。

 

 本拠のスパルタン・スタジアムにアリゾナ州立大を迎えたランク18位のミシガン州立大だったが、攻撃に切れ味がなく惜敗した。

 アリゾナ州立大も3点を先取したものの、第4QにTDを返され、敗色濃厚だった。

 しかし大詰め、1年生のQBジェイデン・ダニエルズが75ヤードのドライブを鮮やかに決め、残り50秒にRBイーノウ・ベンジャミンが、ゴール前1ヤードから突進して貴重な決勝TDをもぎ取った。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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