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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.299

2019.9.12 12:46 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
青学大との試合後、インタビューに答える日大のQB林大希選手=9月7日・AGFフィールド
青学大との試合後、インタビューに答える日大のQB林大希選手=9月7日・AGFフィールド

 

 「林君は元気なの?」。行きつけの居酒屋のおかみさんは、日大の3年生QB林大希選手のファンで、その動向をいつも気にしている。

 2シーズン前、林選手が1年生で「フェニックス」を27年ぶりの甲子園ボウル優勝に導き、年間最優秀選手に贈られる「チャック・ミルズ杯」を獲得して以来、大のアメリカンフットボール好きになった。

 

 負けん気が強そうな面構えと思い切りのいいプレースタイルは、それまで全くアメリカンフットボールに興味がなかった多くの女性を魅了した。

 スターは作られるのではなく、持って生まれた何かを備えている。大物感が漂う奔放な性格も相まって、林選手は女心をくすぐる存在のようだ。

 

 9月7日、東京都調布市にあるAGFフィールドで、日大は2年ぶりに公式戦の舞台に立った。

 初戦の相手・青学大を攻守に圧倒し89―0で大勝した。林選手は、この試合のほとんどでオフェンスを指揮した。

 2018年1月のライスボウルで痛めた脚はまだ完治していないが、第3クオーターに77ヤードの独走TDを決めた。

 

 日大は昨季、「危険な反則タックル問題」で関東学連から公式戦への出場資格停止処分を受けた。

 「2年ぶりの公式戦は、うれしさもあったが悔しさもぶつけた。独走TDはあまりしたことがなかった。レシーバーのブロックのおかげ」と林選手は言った。

 

 1年のブランクは、4年間しかない大学の部活動をする上で大きな損失だ。日本一を目指すチームならなおさらである。

青学大との試合後、応援席に向かって挨拶する日大の選手たち=9月7日・AGFフィールド
青学大との試合後、応援席に向かって挨拶する日大の選手たち=9月7日・AGFフィールド

 「復帰したときに、どれだけ強いフェニックスを見せられるか楽しみにしていた」。詰めかけた報道陣にそう話す林選手は「(試合中に)一喜一憂したくなかった」とも言った。

 

 雌伏の時を経て、フェニックスのエースはずいぶん大人になった。

 「出場停止になったときは、チームのみんなが戸惑ったが、私生活やフットボールに対する取り組みすべてで日本一になるという目標に向かってやってきた。応援してくれる人に感謝し、対戦相手もリスペクトしたい」

 

 記者の質問に自分の言葉で堂々とよどみなく答える姿に、人間的な成長とリーダーとしての自覚がはっきり見て取れた。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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