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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集長の独り言】Vol.19

2019.9.3 15:27 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
早大との試合後、学生に話しかける東大の森清之HC=9月1日、東京・アミノバイタルフィールド
早大との試合後、学生に話しかける東大の森清之HC=9月1日、東京・アミノバイタルフィールド

 

 「フットボールはおろか、スポーツすらまともにしていなかった選手が大半を占める素人集団の我々が、4年間という短い時間で強豪校と同じ土俵で戦うレベルまで行くことは並大抵のことではありません。日々のトレーニングや練習においては、常に昨日の自分を超えること=壁を破ることが求められます。壁を破るとは、自分自身に真剣に向き合うことによって、自分の限界を意識し、それを超えることです。そこで必要なのは、努力ではなく挑戦です」

 

 毎年郵送されてくる「東大ウォリアーズ」のイヤーブックに、森清之ヘッドコーチ(HC)はこう書いている。

 森さん自身も、京大でアメリカンフットボールを始め3、4年時には主力選手として2年連続で「甲子園ボウル」と「ライスボウル」を制した実績がある。

 

 指導者としての経歴も輝かしい。母校だけでなくXリーグの鹿島(現LIXIL)、日本代表のHCなどを歴任し、NFLヨーロッパでのコーチ経験もある。

 その森さんが東大のHCに就任したのは2年前。当時、京大からも復帰の要請があったが、東大のオファーが先だったという理由で、母校には断りを入れたという。

 プロのコーチとしての矜恃を感じさせるエピソードである。就任2年目で、ウォリアーズを関東大学リーグ1部BIG8からTOP8に引き上げた手腕はさすがと言うほかない。

 

 9月1日、東京・アミノバイタルフィールドで行われた早大との開幕戦を見た。

 結果は10―23で敗れたが、昨シーズンの東日本学生王者「ビッグベアーズ」を、最後まで攻守ともにメンバーを落とすことなく戦わざるを得ない状況に追い込んだ。

 

 優秀な指導者は「言葉の使い手」でもある。選手に奮起を促し、納得させる「自分の言葉」を持っていると言い換えてもいい。

 

 試合後のミーティング。森さんの話に耳を傾ける学生の目は輝いていた。13点差の敗戦を冷静に分析し、次への心構えを分かりやすく説明する。

 森さんがその時何を言ったかは、小欄ごときがカギ括弧でくくって紹介しても真意が伝わらないので、敢えてここでは書かない。

 

 ただ、これだけは言える。

 QB伊藤宏一郎選手(4年)、SF助川左門選手(3年)のプレーに代表されるように、今年のウォリアーズにはTOP8で上位を狙う実力と高い潜在能力があるということである。(宍戸博昭) 

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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