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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

コルツQBアンドルー・ラックが引退を発表 29歳、故障癒えず決断

2019.8.26 13:00 生沢 浩 いけざわ・ひろし
沈痛な面持ちで引退を表明するコルツのQBアンドルー・ラック(AP=共同)
沈痛な面持ちで引退を表明するコルツのQBアンドルー・ラック(AP=共同)

 

 NFLインディアナポリス・コルツのQBアンドルー・ラックが、突然の引退を発表した。

 まだ29歳。将来を嘱望されたスター選手のNFL人生はわずか7年で幕を閉じることになった。

 8月24日に行われたプレシーズンゲームの後にメディアに対応したラックは「これは人生で最も難しい決断だ。この4年ほどはけが、痛み、リハビリの繰り返しだった。シーズン中であってもオフであってもいつもそうだった。この悪循環から逃れるにはフットボールをやめるしかないと思った」と述べた。

 

 2016年ごろからラックは利き腕である右肩の負傷に悩まされ、翌年はついに全休に追い込まれた。

 しかし、昨年は開幕戦から復帰してパスで4593ヤードを獲得し、39TDを記録した。チームも4年ぶりにプレーオフに出場し、ラックも完全復調かと思われた。

 

 ところが、今年のオフシーズンはふくらはぎに不調を訴えて練習に参加できず、トレーニングキャンプに入ってからも戦列を離れたままだった。

 最近の精密検査ではふくらはぎではなく足首に痛みの原因があると診断され、復帰の見込みが立たないまま開幕を迎えようとしていた。

 肩の負傷が癒えたと思ったら脚の故障が発覚。ラック自身が言うこの「悪循環」がユニホームを脱ぐという選択をさせた。

ベアーズとのプレシーズンゲームでQBラックの引退を惜しむコルツファン(AP=共同)
ベアーズとのプレシーズンゲームでQBラックの引退を惜しむコルツファン(AP=共同)

 

 ラックは2012年のドラフト全体1位指名でコルツに入団した。

 ヒューストン・オイラーズ(現テネシー・タイタンズ)でQBとして活躍し、NFLヨーロッパの会長を務めたオリバー・ラック氏(現在は新設プロリーグXFLのコミッショナー)を父に持つ「サラブレッド」で、スタンフォード大学時代からすでにNFLでの成功が期待されていた。

 

 コルツではペイトン・マニングの後継者としてフランチャイズQBとなることが運命づけられた。

 周囲の期待に応えるようにルーキーシーズンから3年連続でチームをプレーオフに導き、2015年にはスーパーボウル優勝の最有力候補だった。

 

 皮肉なことにこの頃から肩の故障に悩まされるようになる。

 元々OLが弱かったこともあって被サックの多いQBではあったが、そのツケがこの年に一気に来てしまった形だ。

昨シーズンのプレーオフでテキサンズと対戦したときのコルツQBラック(AP=共同)
昨シーズンのプレーオフでテキサンズと対戦したときのコルツQBラック(AP=共同)

 その後はラック自身も回想しているように毎シーズンが故障との戦いで、彼の戦列離脱はそのままコルツの不振へとつながった。

 昨年の復調はスーパーボウルへの期待を再び抱かせるに十分だった。しかし、悲願はついに達成されることがなかった。

 

 今季のコルツは当面は控えのジャコビー・ブリセットが先発QBを務めることになるが、ラックに代わる新たな人材の確保が急務となった。

 昨年、新人ながらオールプロに選ばれたOGクェントン・ネルソン、LBダリアス・レナードの台頭もあってコルツの戦力は整いつつあった。

 しかし、名実ともにチームの屋台骨を支えてきたラックの引退は、大きな痛手となりそうだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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