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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.292

2019.7.18 12:43 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
日本選手権「ライスボウル」の舞台となる東京ドーム
日本選手権「ライスボウル」の舞台となる東京ドーム

 

 家人は、旦那がその昔アメリカンフットボールの選手だったことをいまだに信じていない。

 普段の生活態度に、スポーツマンの片鱗がみじんも感じられないというのがその理由だ。

 ある女性フットボールファンは言う。「彼氏にするならWRかDB、結婚するなら断然OL」。とてもよく分かる。

 

 秋に開幕するシーズンまでのつかの間のオフは、フットボール関係者と一緒に食事をするのが楽しみの一つになっている。

 つい最近も、日本社会人Xリーグの強豪チームで活躍するDBと会食した。

 

 関西の強豪大学の付属高校で本格的にフットボールを始めた20代後半の彼は、紺のスーツに赤いネクタイを締めて、約束の時間よりかなり早く店に着いていた。

 さすが現役選手と思わせる凜とした佇まい。緩んだ己の体に嫌悪感を抱くのは、こんな時だ。

 

 176センチ、74キロは現代のDBとしては小柄な部類に入る。

 「DBはやっぱりスピードが命かな? 一瞬でもためらうと、ボールキャリアにアドバンテージを取られる。ここと思ったタイミングでタックルにいかないと、差し込まれるよね」

 先輩風を吹かす元選手に「その通りです。すべてはタイミングです」。爽やかな笑顔で彼は答えてくれた。

 

 仕事と競技の両立は、社会人選手の永遠のテーマだ。限られた時間で体をつくり、トップ選手としてのスキルを維持するのは大変だ。

 「もちろん仕事は頑張りたいけれど、フットボールもとことん突き詰めたい」

 商売柄、特定のチームや選手を応援するのは極力避けているが、彼のような好青年と出会うと、どうしても肩入れしたくなる。

 

 大学時代に知り合った大切な人とは遠距離恋愛で、「会うのは半年に一度」だとか。

 ちょっぴり寂しそうに話したDB君の颯爽と歩く姿に、こちらも背筋が伸びた。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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