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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

名門大学、名選手のプレーに興奮 日本開催のNCAA公式戦

2019.7.10 11:48 生沢 浩 いけざわ・ひろし
日本で開催されたNCAA公式戦「コカ・コーラボウル」のポスター=提供・生沢浩さん
日本で開催されたNCAA公式戦「コカ・コーラボウル」のポスター=提供・生沢浩さん

 

 先週のこのコラムで、NFL人気が定着するにはレギュラーシーズンゲームの開催が望ましいと書いた。

 残念ながらその実現はまだ先のことになりそうだが、過去に日本でも米カレッジフットボールの公式戦が行われていたことがあった。

 今となっては懐かしい「ミラージュボウル/コカ・コーラボウル」として知られるNCAA公式戦がそれだ。

 

 日本で初めてNCAAの公式戦が行われたのは1976年のことだ。開催地は後楽園球場で、グランブリング州立大がモルガン州立大を42―16で破った。

 翌77年から85年までは三菱自動車がメインスポンサーとなって、当時の人気車の名前を冠した「ミラージュボウル」として親しまれた。

 86年からはスポンサーがコカ・コーラに代わったが、年に一度の真剣勝負としてフットボールファンに愛された。

 ノートルダム大、マイアミ大、UCLA、USC、クレムソン大、スタンフォード大、ネブラスカ大など名門校が次々と来日する、今にして思えば贅沢なイベントだった。

 

 後楽園球場のほか旧国立競技場で試合が行われ、88年から当時新設されたばかりの東京ドームに場所を移した。

 東京ドームは天候の心配がなかったが、筆者はやはり寒空で毛布を膝にかけて観戦した旧国立競技場での試合が忘れられない。

 

 名門校だけあって、後にNFLで活躍する選手も多く来日した。

 アフリカ系アメリカ人で初のスーパーボウル優勝QBとなったダグ・ウィリアムズ(レッドスキンズ)は、グランブリング州立大の一員として76、77年に2年連続で出場。77年大会ではMVPに輝いている。

 そのほか、ベアーズで「冷蔵庫ペリー」として親しまれたDTウィリアム・ペリー(クレムソン大=82年)や、スティーラーズで名LBとして鳴らしたルフォン・カークランド(クレムソン大=91年)らが日本でプレーを披露した。

 

 今でも語り草になっているのは、88年来日のオクラホマ州立大のRBバリー・サンダースだろう(ライオンズ)。

 殿堂入りしたサンダースはこの年にハイズマン・トロフォーを受賞するのだが、その発表日がたまたまコカ・コーラボウルの開催日だった。

 つまり、サンダースは日本でハイズマン・トロフィー受賞の知らせを受け、東京のホテルから全米中継されたニュースでコメントを述べたのだった。

 

 当時大学3年生だった筆者はこの試合のチケットを持っていた。

 生のサンダースを見ることを楽しみにしていたのだが、幸か不幸か在籍していた上智大学ゴールデンイーグルスが1部リーグのチームとの入れ替え戦に出場することになり、当日は強化合宿になってしまった。

 泣く泣くチケットを手放したのだが、合宿ではけがをするしサンダースは見られないしで、とても残念な思い出となってしまった。

 

 最後の大会となった93年の大会はミシガン州立大とウィスコンシン大の対戦だった。

 実はウィスコンシン大はこの試合勝てば30年ぶりのローズボウル出場となる重要な試合だった。

 こんな重要な試合をなぜ日本で開催するのかという、地元からの不満の声も少なくなかったと聞くが、ウィスコンシン州から多くのファンが来日した。

 そのファンの後押しもあったのか、ウィスコンシン大は快勝し、ローズボウル出場を決めたのだった。

 

 筆者は一ファンとして、またメディアの記者としてこの大会を見てきたが、やはり生で見るレギュラーシーズンゲームは魅力的だった。

 NCAAでもNFLでもいいのだが、やはり日本で真剣勝負のフットボールが見たいものだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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