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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

インターフェアランスの有無を検証対象に NFL、2019年シーズン限定で

2019.6.25 12:20 生沢 浩 いけざわ・ひろし
セインツのWRルイス(左)のパスキャッチを防ぐラムズのDBロビーコールマン(AP=共同)
セインツのWRルイス(左)のパスキャッチを防ぐラムズのDBロビーコールマン(AP=共同)

 

 ルール変更に大きな影響力を持つNFL競技委員会は現地時間6月20日(日本時間21日)に会合を開き、懸案だった「インターフェアランスルール」について3月のオーナー会議で議決された新案をそのまま承認することを決定した。

 

 これにより2019年シーズンはパスインターフェアランスの有無が「インスタントリプレー」の対象となることが正式に決まった。

 

 

 これまでインスタントリプレーはオフィシャル(審判)が行う反則の有無の判断については適用外とされてきた。

 

 インターフェアランスに関する新ルールは反則コールの有無に対して異議を唱える初めてのケースとなる。

 

 ただし、これは今季限定のルールでいわば試行ルールである。今季終了後に新ルールを検証し、来年以降も適用を継続するか否かを協議する。

 

 

 ヘッドコーチ(HC)はインターフェアランスのコールまたはノーコール(審判の見逃し)に対してチャレンジしてオフィシャルによるリプレーを要求することができる。

 

 第2、4クオーターの残り2分とオーバータイムではチャンレンジができないのはこれまでのインスタントリプレールールと同様だ。

 

 この間はオフィシャルのみがインスタントリプレーを要求する権限を持つ。

 

 

 このコラムでも幾度か触れてきたように、この新ルール制定の背景にあるのは昨季のNFC決勝でのプレーがきっかけになっている。

 

 第4クオーター残り2分を切って、セインツのQBドルー・ブリーズの投げたパスを捕球しようとしたWRトミーリー・ルイスに対し、ラムズのDBニッケル・ロビーコールマンが接触。パス失敗に終わったが、インターフェアランスの反則はコールされなかった。

 

 

 インターフェアランスがコールされていればセインツがTDを挙げられていた可能性が高く、そうすれば終盤に追加得点したセインツが逃げ切ってスーパーボウル出場を果たしていたかもしれない。それだけにこの「ノーコール」が大問題となったのだ。

 

 

 NFLでは15ヤードを超えるパスに対するディフェンス側のインターフェアランスは、反則地点でのファーストダウン更新となるから、実質はパスが成功した場合と同じ結果が得られる。それだけにこの反則の有無は試合を大きく左右する可能性が高い。

 

 また、オフィシャルのインターフェアランスの有無の判断に疑問を呈したくなるようなケースが一つの試合の中でいくつか生じるのも事実だ。

 

 明らかなミスジャッジを訂正できるという意味では新ルールは歓迎されるだろう。

 

 

 もっとも、HCコーチたちはその権利をどう行使するかに頭を悩ますことになるだろう。

 

 新ルールが適用されたからといって、1試合でHCがチャレンジできる回数(原則2回。2回とも成功した場合にのみ3回目が認められる)が増えるわけではない。

 

 インターフェアランスの有無のレビューを試合の早い段階で連発して失敗すると、のちに重要な場面でチャレンジができないという事態に陥る。

 

 むやみにインターフェアランスまがいのプレーに冷静さを欠くわけにはいかないのだ。

 

 

 インターフェアランスに絡むチャレンジは頻発するだろう。そのたびに試合は中断する。重要な判定だから仕方ないが、その反面で試合の緊迫感を損なう心配もある。

 

 だからこそ競技委員会は新ルールの適用を今季限定にして、将来の検討材料としたのだ。

 

 

 今回のルール変更は試合の流れに少なからず影響を及ぼすものだ。シーズン終了後、それがどう評価されるのかを注視したい。

 

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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