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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.280

2019.4.19 11:07 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
復活を目指す社会人の名門クラブチーム「シルバースター」
復活を目指す社会人の名門クラブチーム「シルバースター」

 

 レシーバーが追いつかず地面に落ちたボールは、グラウンド上でしばらく独楽(こま)のように回転していた。

 「シルバースター」伝説のQB佐曽利正良さん(日大OB)が投げるパスは、当時の高校生の想像を遥かに超える迫力があった。

 

 1970年に結成された名門クラブチームの「シルバースター」には日大、日体大OBを中心に、文字通り輝く星のような選手がそろっていた。

 国内に敵はなく、在日米軍チームも一目置く存在だった。

 

 しかし、クラブチームは経済的に不安定という理由で、不遇の時代が続いていた。

 バブル景気で、銀行などの一流企業が相次いで創部。83年度から始まった大学と社会人の王者が日本一を争う、現在の日本選手権(ライスボウル)への出場資格を与えられたのは、87年度シーズンからだ。

 

 「無冠の帝王」が初めてライスボウルを制したのは92年シーズン。翌年には連覇を果たし、最後の日本一は99年度である。

 

 その後、時代は企業チームからクラブチームへと移る。

 企業が自前のチーム運営から撤退し、アサヒビールの支援を受けるシルバースターのようなクラブ化で、存続を目指す動きが加速する。

 

 クラブチームの〝老舗〟はそうした流れの中で、外国人を含めた選手のリクルート面で後れを取り、優勝争いに絡めない状態が続いている。

 今のXリーグは学生同様、選手層だけではなく指導体制、サポートスタッフの充実など、チームの総合力が勝敗に直結する。

 かつてのように、特定のスター選手の力だけではどうにもならない。

 

 2019年度から新しいリーグ編成になり、シルバースターは秋の本番では「X1エリア東地区」に所属する。

 昨季の不振が響き、ライスボウル出場を争う8チームで構成する「X1スーパー」には残れなかった。X1エリアでいくら好成績を挙げても、その先にライスボウルはない。

 

 「日本のフットボール界の輝く星になる」を合い言葉に誕生したシルバースターは今年、創部から数えて50年目を迎えた。

 象徴的な存在として長年社会人フットボール界を牽引してきた人気チームが、どう巻き返してくるのか。春から注目したい。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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