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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.276

2019.3.22 13:23 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
引退記者会見で話すマリナーズのイチロー外野手=3月22日未明、東京都内のホテル
引退記者会見で話すマリナーズのイチロー外野手=3月22日未明、東京都内のホテル

 

 自分の言葉を持った超一流のアスリートのインタビューは、質問者にいい意味での緊張感を強いる。

 3月22日の未明に東京都内のホテルで行われた大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手の引退記者会見は、投手と打者の真剣勝負のような張り詰めた雰囲気に包まれていた。

 

 美談を期待するような唐突で抽象的な質問をすれば、たちまち鋭い反応で切り返される。

 時に「禅問答」と言われるイチロー選手と記者のやり取りだが、よどみない語り口でジョークを交えながら持論を展開するスーパースターの話は、実に奥が深い。

 安易に「見ている人に勇気や感動を与えられるプレーをしたい」などと言わないところがいい。

 

歓声に応えながら場内を一周するマリナーズのイチロー外野手=東京ドーム
歓声に応えながら場内を一周するマリナーズのイチロー外野手=東京ドーム

 イチロー選手は、1992年にドラフト4位でオリックスに入団して、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせた。

 9年間オリックスに在籍した後、2001年から活躍の舞台を大リーグに移した。

 そのイチロー選手をオリックス時代から取材し、イチロー選手の強い要望を受けて一緒に海を渡ったフリーライターの小西慶三さんは、共同通信運動部の後輩だ。

 誠実な人柄が、イチロー選手の信頼を得たのだろう。

 

 関学大では「ファイターズ」のセンターとして、QBに黙々とボールをスナップしていた小西さんは、彼が出場した甲子園ボウルでテレビ中継の解説をした縁もあって、シーズンオフに帰国すると、律儀に東京のオフィスまで挨拶に来てくれる。

 

 28年間の選手生活を最も近くで見てきた〝番記者〟が語る「人間・鈴木一朗」の素顔は、意外性に富みいつ聞いてもワクワクする。取材者として嫉妬を感じる瞬間でもある。

 

 日本の航空会社が成田からの直行便を27年ぶりに再開するシアトルは、小西さんによれば「ワインがおいしい街」として知られるようになっているという。

 

 スタジアムでワインを飲みながら、イチロー選手のプレーを堪能する。

 楽しみにしていた後輩との約束は叶わないが、機会があれば45歳のレジェンドの話を肴に、こちらのホームグラウンドで一杯と思っている。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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