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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.273

2019.3.1 10:33 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
2019年度の「ファイターズ」の主務に就任した橋本典子さん=撮影:山岡丈士
2019年度の「ファイターズ」の主務に就任した橋本典子さん=撮影:山岡丈士

 

 学生王者・関学大の2019年度の主務に、橋本典子さんが指名された。チーム史上初となる女性学生幹部の誕生だ。

 

 「私が立候補したことを受けて各学年で話し合い、主務とはこうあるべきというものをあらためて明確にし、最後に新主将、副将と面談して決まった」

 橋本さんは就任の経緯をこう説明する。

 

 関学大の2015年度の主将を務めた4歳上の兄・亮さんの影響で同じ大阪・豊中高に進みアメリカンフットボール部のマネジャーになった。

 高校3年の時、亮さんが率いる「ファイターズ」は関西学生リーグで立命大に敗れ、5連覇が懸かった甲子園ボウルに出場できなかった。

 

 「人の何倍も努力していたチームが負ける。私が悔しいのだから、兄たちはもっと悔しいと思った。関学に入って、勝てるチーム作りに貢献したい」。高い志を持って入部した。

 

 歴代のファイターズの主務は「プレーをしないキャプテン」としての重責を担ってきた。

 「選手はプレーで見せられるけれど、それができない私の仕事は客観的にチームを俯瞰して、いかに200人の部員が『勝ちたい』と思うチームにしていくかだと認識している。主将をはじめ、同期の新4年生の目が届かないところに気を配っていきたい」

 

 恒例の春合宿は、泥田のような場所でレスリングをしたりすることで知られている。体力の向上より、精神面の強化を主眼に置いたトレーニングである。

 「サボるな!」「まだいけるやろ!」。橋本さんは先頭に立って選手を叱咤激励する。

 

 「マネジャーは、雑用係ではない。自分の限界を超えたとき、人間は初めて成長する。ファイターズのスタッフは、男女に関係なく選手に言うべきことは言う」

 縁の下の力持ちであるマネジャーをしていて、報われたと感じるのは「選手が活躍したとき。選手の努力が結果として表れたとき」だという。

 

 「朝起きてから寝るまで、ファイターズのことだけを考えている」

 すべてはチームのために。ひと言ひと言に高潔な人柄がにじむ橋本さんの、ファイターズでの最後の一年が始まった。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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