メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.271

2019.2.15 12:12 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
昨年春の日体大戦で、応援席に向かって挨拶する徳島秀将さん(18)
昨年春の日体大戦で、応援席に向かって挨拶する徳島秀将さん(18)

 

 2014年の甲子園ボウルは、関学大が日大に55―10で快勝した。

 当時、日大の附属高校3年だった日大の徳島秀将主将は、この試合を父親の秀樹さんとスタンドで観戦していた。

 「次男の目があんなに輝いているのを初めて見た」。秀樹さんはこの時、「フェニックス」でのプレーを熱望する息子の背中を押す決意を固めたという。

 

 秀樹さんは慶応高校時代、QBとしてチームを全国大会の準優勝に導いた。慶大でもQBを任され、大学のレベルは身をもって知っていた。

 「果たして息子は大学で通用するのか。それも日大という強豪で」。そんな不安もあったと述懐する。

 

 秀将さんが3年の2017年、日大は関学大を倒し27年ぶりに大学王座を奪回する。

 自身は下級生QBのバックアップに甘んじたが、スポッターとフィールドの橋渡し役として、サイドラインから状況に適したプレーを送り優勝に貢献した。

 

 4年になると、秀将さんはキャプテンに指名された。それは秀樹さんにとってもサプライズだった。

 

 そして迎えた春のシーズンに〝事件〟は起きた。

 5月6日の関学大との定期戦での「危険な反則タックル」は、日本のアメリカンフットボール界を揺るがす大問題に発展した。

 

 関東学連から公式戦への出場資格停止処分を受け、目標を失った4年の大半が部を離れる中、秀将さんは後輩のためのサポート役に徹してきた。

 保護者会の副会長だった秀樹さんも、仕事に支障が出るほど真剣にチームの再建に取り組んだ。

昨年3月の祝勝会に日大の新主将として出席した徳島秀将さん(左)と父親の秀樹さん
昨年3月の祝勝会に日大の新主将として出席した徳島秀将さん(左)と父親の秀樹さん

 

 最終学年のシーズンを不祥事で棒に振った秀将さんにとって、日大での4年間はつらくて悲しいものになった。

 5年前に一緒に見た甲子園ボウルで、主将を務める我が子を応援する夢は叶わなかったが「親子の絆は強まったかもしれません」と秀樹さんは言う。

 

 激動の大学生活を終える秀将さんは、4月から兄の秀一さんがオフェンスコーディネーターを務めるXリーグの東京ガスで、選手として再スタートを切る。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

最新記事