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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

本場の理論を学ぼう 刺激を受けたロッキー瀬藤氏のコーチングクリニック

2019.2.14 12:03 中村 多聞 なかむら・たもん
中村多聞さん(左)とクリニックの講師を務めたロッキー瀬藤氏
中村多聞さん(左)とクリニックの講師を務めたロッキー瀬藤氏

 

 先週東京で開催されたコーチングクリニックを受講してきました。「スーパーボウル優勝コーチ『ロッキー瀬藤』のタックリングとコーチング理論」です。

 

 どうしてランニングバック(RB)のテクニカルコーチが守備のクリニックに行くのか?理由は二つです。

 20年前にプロ選手として渡米した時に初めて知った「HEADS UP FOOTBALL」が、あれから本場でどれほど進化しているのかに興味がありました。

 もう一つはRBの宿敵であるタックラーという人たちがどのような技術論を持っているのかを調査するためです。

 つまりは米国で最新の情報が欲しかった、ということです。僕もプロとしてコーチをしているのですから、ここに興味がわくのは当然で攻守の専門は関係ないと思います。

 

 瀬藤氏は現在コーチを引退して牧師さんになっていることもあって、説法は優しく分かりやすいものでした。ご本人は両親が日本人で、アメリカで育った純日本人だそうです。

 

 名門南カリフォルニア大学(USC)出身、卒業後はUSCのコーチとしてローズボウル優勝。そしてNFLのシアトル・シーホークスでスーパーボウルの勝利にも貢献した、本物中の本物です。こんなチャンスがすぐそこで開催されるのですから行くしかありません。

 

 今週末にも関西で開催されますので、内容に関しての詳細を明かすことはできませんが、結論から申し上げますと「感激した!」でございます。

 もちろん守備のことをこのように拝聴したことも真剣に学んだ経験もありません。

 しかし、日本初上陸のNFL流のタックル方法。しかもそれは脳しんとうになりにくい方法ときていますので、聞くのが楽しみで仕方ありませんでした。

 

 もちろん、これまでも「HEADS UP FOOTBALL」を聞いたり学んだりしたことはあります。

 「ホークタックル」「ショルダータックル」の定義も映画「コンカッション」公開後に学ぶ機会がありましたので、多少は知っていました。

 

 脳しんとうになる多くの原因に「タックルにいった際、ヘルメットを太ももで横から蹴られる」というケースがあるという有名なデータがあります。

 RBからしますと、それはわざと狙っていて、腰から下に飛び込んでくるタックラーを激しく蹴飛ばす練習をかなりの量やります。いわゆる「ニーアップ」と言われているものです。

 少なくとも僕はやっていましたし、現在指導している選手たちの練習にも組み入れています。

 

 瀬藤氏の説明でも最初は理論がよく分からなかったのですが、講演の中で実際に動いてくださったり、練習風景のVTR、シーホークスのゲームVTRでそのシーンを何度も何度も見せてもらううちに、理解できました。

 手本となるシーホークスの守備選手が次にどんな動きを見せるのかが、だんだんと予測できるようになってきました。

クリニックで受講者に分かりやすく説明するロッキー瀬藤氏
クリニックで受講者に分かりやすく説明するロッキー瀬藤氏

 

 それはそれは見事なものです。自分が今すぐにでも守備選手としてプレーできるような気までしてきました。

 こんな技術を全ての守備選手が身につけてしまったら、今以上にパスばっかりのフットボールになってしまいRBにとっては全然面白くない方向に行ってしまいかねません。

 

 守備選手のタックルやヒットは「こうくる(はず)」という予測を立てても無駄。対策することができずに絡まれてしまいます。しかも守備選手もRBも安全に。

 ヘルメットを蹴り飛ばそうにも、ランナーの太ももの前面にヘルメットが来ないのでかわし方や走るコース選択も変わってきます。RBにとっては危機的状況です。

 

 上半身へのタックルやヒットに関しては、20年前からアメリカ人はこうやっている(ように感じた)ので驚きはありませんでしたが、細かい動きの説明をしてくださったので理屈が分かりました。

 

 タックルというのは実はパスのプロテクションと似た部分が非常に多いので、見る場所狙う場所足さばきにヒットポイント、手の動かし方などなど共通点が満載です。

 ですから「タモン式」のパスプロテクションも今以上に強力になるはずです。

 まあRB諸氏は総じてヒットが苦手で、パスプロテクションの練習を敬遠する傾向があります。短期クリニックで紹介しても、実演を嫌がることが多いのです。

 

 関西エリアでは2月16日(土)に西宮市の関西学院大学で開催されます。

 瀬藤氏のコーチングクリニックは、全ての守備選手や守備コーチに受講してもらいたいと感じました。練習2000日よりも濃く、価値ある一日になるはずです。

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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