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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.270

2019.2.7 13:53 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
公式試合への出場資格停止処分後、初めての練習試合に臨んだ日大の選手たち=2018年11月17日
公式試合への出場資格停止処分後、初めての練習試合に臨んだ日大の選手たち=2018年11月17日

 

 ライバルを屈服させ栄冠を勝ち取るチームには、組織づくりの過程に必ず「ハードワーク」が存在する。

 

 明治大学ラグビー部が、22シーズンぶりの大学日本一になった。

 4年前のワールドカップ(W杯)日本代表ヘッドコーチ(HC)のエディ・ジョーンズ氏(現イングランド代表HC)と親交が深いスポーツライター生島淳さんのコラムに、こんな下りがある。

 

 「年齢を重ねたら、明治大学のコーチをしてみたい。素質はあります。ただ、残念ながら明治にはハードワークの習慣が根付いていないように思います。もし私が指導することになったら、めっちゃ走らせますね」

 ジョーンズ氏はインタビューでこう話したそうだ。

 

 名門を再生したOBの田中澄憲監督は、サントリーの選手時代に影響を受けたジョーンズ氏の指導法を自分流にアレンジして取り入れたという。

2015年のラグビーワールドカップで日本代表を率いたエディ・ジョーンズ氏
2015年のラグビーワールドカップで日本代表を率いたエディ・ジョーンズ氏

 最後まで規律を保ち、辛抱強くハードワークに徹する。「分析力」なども重視したが、最後は伝統の重量FWを中心にした「明治らしいチーム」が頂点に駆け上った。

 

 4年前、ジョーンズ氏が率いた日本代表が、W杯で強豪の南アフリカから挙げた金星も「ハードワーク」が原点にあった。

 

 厳しい言葉で選手の士気を鼓舞して、きつい練習を強いる。そこには指導者の選手への愛情と、選手の指導者に対するリスペクトが共存する。

 どちらが欠けても、チームは同じ方向に進まない。

 

 2017年シーズン。日本大学は27年ぶりに甲子園ボウルで優勝した。その年の1月、故篠竹幹夫元監督時代には当たり前に行われていた練習冒頭の長距離ダッシュが復活した。

 突然の〝原点回帰〟は大量の退部者を出したが、残った学生は結束し、たくましく「日大らしいチーム」が出来上がった。

 

 低迷した期間が長いほど、勝利の味は格別だ。さらなる高みへとの意欲もわいてくる。

 アメリカンフットボールという競技の信頼を揺るがす事態に発展した「危険な反則タックル問題」は、そんな連覇への気運が高まる春のシーズン中に起きた。

 

 ハードワークは「指導者と選手が確かな信頼関係で結ばれた健全なコミュニケーション」なしには成り立たない。

 「フェニックス」が真の復活を遂げるためのキーワードである。(編集長・宍戸博昭) 

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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