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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ペイトリオッツとラムズが激突 「第53回スーパーボウル」見どころ

2019.1.30 11:26 生沢 浩 いけざわ・ひろし
スーパーボウルウイーク初日のトークショーで同席する、ラムズのQBゴフ(左)とペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)
スーパーボウルウイーク初日のトークショーで同席する、ラムズのQBゴフ(左)とペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)

 

 NFLの2018年シーズンのチャンピオンを決める「第53回スーパーボウル」は2月3日(日本時間4日)に、ジョージア州アトランタで開催される。

 出場するAFC代表ニューイングランド・ペイトリオッツ(3年連続11度目)と、NFC王者ロサンゼルス・ラムズ(17年ぶり4度目)はそれぞれ1月28日までに現地入りし、メルセデスベンツスタジアムでの大一番に備えている。

 

 ラスベガスの予想ではペイトリオッツが有利とされるが、その差はわずか1点。スーパーボウルのオッズにしては珍しく小差だ。それだけ両チームの戦力が充実しており、拮抗しているということだろう。

記者の質問に耳を傾けるペイトリオッツのベリチックHC(AP=共同)
記者の質問に耳を傾けるペイトリオッツのベリチックHC(AP=共同)

 

 その両チームの戦力をスタッツ上から分析すると意外な傾向が見えてくる。

 まず特色として挙げられるのは、ペイトリオッツもラムズも得点力の高いチームだということだ。

 レギュラーシーズンはラムズが1試合平均32・9点でリーグ2位。ペイトリオッツは27・3点で同4位だ。

 ところがポストシーズンではこれが逆転する。ラムズが平均28点(ポストシーズン出場チーム中3位)なのに対し、ペイトリオッツは39点の1位だ。9点=2ポゼッションの差は小さくない。

 

 プレーオフにおけるオフェンスの獲得距離を比較すると、総合ではペイトリオッツが平均511ヤードに対し、ラムズが418・5ヤード。パスはペイトリオッツが345・5ヤードでラムズが243・5ヤードとなっている。

 ラムズがペイトリオッツを上回っているのは平均175ヤードをマークしたランオフェンスだが、その差は9・5ヤードしかない。

 

 今季のペイトリオッツは従来よりもラン攻撃を多く使う傾向があり、それはプレーオフでより顕著になっている。

 ただし、ラン攻撃が多くなった分パスによる獲得距離が減るのではなく、むしろ増している。

 レギュラーシーズン中の平均(246・4ヤード)よりも100ヤード近く増えているのだ。ラムズにとってはQBトム・ブレイディのパスはやはり要注意ということだ。

 

 さて、先週のコラムではペイトリオッツがボールコントロールによって時間を消費する試合運びのうまさで優ったと書いた。

 それを裏付けるように、プレーオフでのボール所有時間は1試合平均39・33分で2位のラムズに6分以上の差をつけている。

 その反面、失点は29・5点でプレーオフ出場チーム中最下位である。必ずしもボールコントロールが失点を抑える成果には結びついていないのだ。

 

 その理由の一つは、第3ダウンで相手にダウン更新を許す確率が40・91パーセントと高いことだ。プレーオフ出場チーム中7位と振るわない。

 ちなみにラムズは29・17パーセントで2位タイだ。

 

 また、チャージャーズ戦でもチーフス戦でもペイトリオッツのディフェンスはビッグプレーを許す場面が見られた。これもボールの所有時間が長いにもかかわらず失点も多い原因となっている。

ラムズのラン攻撃の中心、RBガーリー(AP=共同)
ラムズのラン攻撃の中心、RBガーリー(AP=共同)

 ラムズがつけいるチャンスはここにあり、その意味でもNFC決勝で不振だったRBトッド・ガーリーの復調は不可欠だ。

 

 最後に両チームが勝つために鍵となるポイントを攻守で一つずつ挙げておきたい。

 まず、ペイトリオッツのオフェンスはTEロブ・グロンカウスキー、WRジュリアン・エデルマンとラムズ守備陣のミスマッチを攻めることだ。

 グロンカウスキーもエデルマンもダブルカバーを受けるはずだ。しかし、二人同時にダブルカバーすることは至難の業で、どちらかがシングルカバーとなり、スピードや体格差のミスマッチが生まれやすい。ブレイディはそこを巧みに攻めることのできるQBだ。

 

 ディフェンスはガーリーをコンテイン(外側から囲い込む)することだ。広いスペースでボールを持てば高い確率でロングゲインにつなげることができるガーリーは、ラムズオフェンス最大のプレーメーカーなだけに、調子づかせるとペイトリオッツにとっては厄介だ。

 

 ラムズオフェンスはガーリーとC.J.アンダーソンのコンビでラン攻撃を展開したい。

 ペイトリオッツディフェンスの最大の弱点はランだ。ランで主導権を握ることができればペイトリオッツ得意のボールコントロールを逆手に取ることが可能だ。

記者会見で質問に答えるラムズのマクベイHC(AP=共同)
記者会見で質問に答えるラムズのマクベイHC(AP=共同)

 

 ラムズディフェンスは、パスラッシュの巧拙が勝敗の分岐点になる。いかにブレイディのパッシングリズムを狂わせるか。シーズン20・5サックのDEアーロン・ドナルドがキーマンとなる。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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