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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.267

2019.1.18 11:12 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
関学大と対戦したライスボウルの第3クオーターに、40ヤードTDランを記録した富士通のRB金雄一選手=撮影:武部真
関学大と対戦したライスボウルの第3クオーターに、40ヤードTDランを記録した富士通のRB金雄一選手=撮影:武部真

 

 関学大との日本選手権(ライスボウル)。富士通の控えRB金雄一(こん・ゆういち)選手に出場機会が巡ってきたのは、試合の後半だった。

 ボールをもらってからの加速は素晴らしく、第3クオーターには勝利を決定づける40ヤードの独走TDを記録した。

 

 金選手は今シーズン、米国人RBトラショーン・ニクソン選手の活躍をサイドラインから見ていた。

 トップリーグで日本一を狙うチームのポジション争いは熾烈だ。アマチュアとはいえ、実力の世界に温情は存在しない。

 

 金選手は33歳。日大のエースランナーとしてチームを牽引していた2007年は、甲子園球場が改修工事で使用できず、大阪・長居陸上競技場で開催された甲子園ボウルで関学大と対戦。大会史上に残る大接戦の末38―41で敗れている。

 

 「甲子園ボウルで勝てなかったのは悔しいけれど、フットボールは大学でやり尽くした」と感じていた金選手は、大学を卒業すると鉄道会社に就職した。

 仕事は順調だったが、同期の仲間がXリーグでプレーする姿を見てフットボールへの思いが募る。翌年鉄道会社を辞め、富士通に再就職しフィールドに復帰した。

 

 1年のブランクは思いの外大きかったが、無類の努力家はすぐに感覚を取り戻す。独特の細かいステップでディフェンダーをかわすテクニックは今も健在だ。

 「試合に出られなくても腐らず、常にコンディションを整えていた彼の活躍は何より嬉しい」と、富士通の藤田智ヘッドコーチは言う。

 

 惜敗に涙した甲子園ボウルから12年。社会人で4度目の日本一を経験した金選手から、正月明けに届いたメッセージにはこう書かれていた。

 「2019年シーズンも現役を続行します。引き続きよろしくお願いします」―。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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