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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

早大・元山、京大・佐藤 東西のリーディングラッシャー新春対談(上)

2019.1.17 11:19 中村 多聞 なかむら・たもん
シーズン中の佐藤選手(左)と元山選手
シーズン中の佐藤選手(左)と元山選手

 

 今回は関西学生リーグのリーディングラッシャーに輝いた京都大学のRB佐藤航生選手と、関東大学1部リーグTOP8のリーディングラッシャー、早稲田大学のRB元山伊織選手の対談です。

 「タモン式」で2年間チームの中心選手として活躍してきた二人が、シーズンを終えて気楽に話せるように、東京都内の居酒屋に来てもらいました。

 聞き手は私、中村多聞でございます。

 

佐藤:久しぶり。今日はカレッジボウル練習の帰り?

元山:おー、久しぶり。そうやねん。タモンさんと一緒に

佐藤:俺もシーズン終えて久しぶりに(後輩の指導で)プレーしたけど全然動けなくて、LOS(ライン・オブ・スクリメージ)に突っ込む時に尻込みしたけど伊織は体動くの?

元山:俺も全然体が動けへんわ!

佐藤:早稲田は甲子園ボウルがあったし12月下旬まで練習していたからいいけど、他大学のはみんなどう?

元山:うんラインとかも結構細くなってたわ

多聞:二人は7月に九十九里が浜で合同で渚のキャンプをして、秋シーズンの健闘を誓い合っていたけど、お互いを意識してたの?

元山:佐藤の記録はバリ見てた。関西リーグの方がいつも1週先に進むので気にしてたで。

佐藤:年間ラッシング記録は結局一緒ぐらいやった?

元山:俺は105回で610ヤードでちょっと負けてたはず。最終節の関西大学戦の佐藤はエグかった。俺ももっと頑張ろう思ったもん

佐藤:俺は118回で646ヤードかな。最後の3試合ぐらいで自分の形がわかってきた。勝負できる感じ

元山:いつからやろ、片岡がけがをしてしまって、自分がやらなアカン思うて責任感も増えて練習に対する覚悟やったりとかで1試合平均100ヤードを狙っていた。佐藤は中盤戦調子悪かったみたいやけど

多聞:負け試合ばっかりやったからなー

元山:あー、せやったなギャハハ!

佐藤:一所懸命やっていたけどイマイチ思いっきり行けてなかった。チームメートも関学戦からすごく変わってん。俺自身は練習でやってたことを実行しただけ。結果、俺も関学戦でなんか光が見えたというか覚醒したというかそんな気がする。それまではマグレだったような。で、結果だけを狙っての関大戦でしっかり結果が出た

元山:俺、2戦目の明治戦ファーストプレーでファンブル。左のアウトサイドゾーンでパコーンってやってもうた

佐藤:見た見た(ニヤリ)

元山:あんなん「ヤッバー!」なるやん。まあタモンさんは試合中のファンブルについてはいつも怒らへん(練習ではその時点で退場になってそれ以降のプレーさせてもらえなくなる)けど「ONE PLAY AT A TIME」やし行くしかないやん。それから明治に10点取られてもうたけど、なんとか逆転勝ち。あれでミスが怖くなくなってん。なんか吹っ切れたというか。次の慶應戦は雨で

佐藤:あーそやったな

元山:ここからミスなんか気にならなくなってん。ところで佐藤は試合中どんなこと考えてんの?

佐藤:4節目の敗戦した近大戦までは俺がなんとかせんとあかんて思ってたけど、次の関学戦では失うものもなくて、とにかく思い切り突っ込んでいこうと考えた。

多聞:元々失うもんあったんか、偉そうに!

佐藤:いえ、まあそうなんですけどすいません!

元山:おー、突っ込んでたなー!

佐藤:それをしたから立命戦で、自分のやるべきことが見えた気がしてん。理想のRB像がやっと見えてきた気がする

多聞:負けてるんやけど?

元山:せやな。後半オフェンス手詰まりな感じやったな

佐藤:そんな時に早稲田の試合見て「アメフトってパスあるんやな」って思った。うちはパス苦手だったから

元山、中村:ぎゃははは!

元山:俺はタモンさんからゲームデーの臨み方というかルーティンを学んだ。以前は気合い入れたらエエだけやと思ってたけどちゃうかった

佐藤:俺も3年生の時は1個上の先輩に勝ちたいだけだったからね。4年になって俺がチームを勝たせなあかんて思って頑張ったけど、試合終わるごとにタモンさんから去年の方が良かったってライン来るし。悩んだ結果、試合でどんなに気合いを入れても練習以上のことは出ないから、練習で気合い入れて、試合はいつも通り。関学戦からメンタルとしては良くなった

元山:何が変わったん?

佐藤:とにかく「自分がチームを勝たせないとあかん」て思ってたけど、自分の実力分しか試合では出せないので、試合中はボールを持ったら守備がいようがどうだろうが自分のやることに集中したら練習通り出せるようになった

多聞:最初から言うてるやん。京大のくせに記憶力低いんか!

佐藤:すいません! 僕らにとってKGは特別な存在だし。負けたことによって失う物がなくなって、次節以降は全てを捨てきれたのが良かったのかも

 

(佐藤の電話が鳴って神妙な顔つきになり小声で話す)

多聞:どうしたん、トラブル発生?

佐藤:面接行った会社から内定の連絡でした!

多聞:すごいやん、おめでとう!

元山:「合格!」ってどんな感じで言われんの?

佐藤:内定って言うことだけ

多聞:なんや。別におもんないな

元山:凄いな!

佐藤:面接で、タモンさんと話してることが生きたで

元山:あ、それ就職先に全く困らなかった片岡も言うてました

多聞:とりあえず、三輪さん(京大ヘッドコーチ)に報告せえよ

佐藤:え、そんな電話して良いんでしょうか? お忙しいはずです

多聞:アホか、一番喜んでくださる方やろが! 大人っちゅうのはそんな情報を他人から聞いたら悲しいなるんや。俺なら縁切る

佐藤:え、そんなもんなんですか? 三輪さんに電話なんかしたことないですよ………。(と言いながらシブシブ電話で報告)喜んでくださってました!

多聞:な、報告しといて良かったやろ

佐藤:ハイ!

 

 つづく

対談する元山選手(左)と佐藤選手
対談する元山選手(左)と佐藤選手

 

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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