メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

見どころは新旧のQB対決 NFLカンファレンス決勝

2019.1.15 12:27 生沢 浩 いけざわ・ひろし
タックルされながら利き腕と逆の左手でパスを投げるチーフスのQBマホームズ(AP=共同)
タックルされながら利き腕と逆の左手でパスを投げるチーフスのQBマホームズ(AP=共同)

 

 スーパーボウルへの出場権をかけた戦いがいよいよクライマックスを迎える。

 NFLはプレーオフの準決勝であるディビジョナルプレーオフを終了し、AFCはチーフスがペイトリオッツを、NFCはセインツがラムズをそれぞれホームに迎えてカンファレンス決勝を行うこととなった。

 

 1回戦のワイルドカードラウンドでは4試合中3試合で下位シードチームが勝つアップセットがあったが、カンファレンス決勝はともにトップ2シードが対戦する順当なものとなった。

 

プレッシャーを受けながらパスを試みるラムズのQBゴフ(AP=共同)
プレッシャーを受けながらパスを試みるラムズのQBゴフ(AP=共同)

 QBの世代交代が叫ばれて久しいNFLだが、カンファレンス決勝はいみじくも「世代闘争」の様相を呈する顔合わせとなった。

 AFCはNFL2年目のパトリック・マホームズ(チーフス)と18年目でスーパーボウル4回優勝を誇るトム・ブレイディ(ペイトリオッツ)が対戦し、NFCは3年目のジャレッド・ゴフ(ラムズ)が15日に40歳となるドルー・ブリーズ(セインツ)に挑む。

 

 今年のプレーオフでは12チーム中4チームで先発QBがポストシーズンデビューを果たした。

 しかし、ワイルドカードでラマー・ジャクソン(レーベンズ)、デショーン・ワトソン(テキサンズ)、ミッチェル・トゥルビスキー(ベアーズ)が敗退し、残ったのはマホームズだけだ。

 

 マホームズは今季が先発1年目にもかかわらず、50TDパス成功、5097ヤードパッシングを記録した。

 同一シーズンで50TDパス以上、5000ヤード以上のパス獲得距離をマークしたのは、2013年のペイトン・マニング以来で史上2人目の快挙である。

 

 WRタイリーク・ヒル、TEトラビス・ケルシーといった有能なレシーバー陣に恵まれたことも手伝って、マホームズはパスによるビッグプレーを連発し、NFLトップの得点力を誇るオフェンスを構築した。

 そのマホームズが通算9回目のスーパーボウル出場を目指すブレイディと2度目の対決を迎える。

ペイトリオッツのオフェンスをリードするベテランQBブレイディ(AP=共同)
ペイトリオッツのオフェンスをリードするベテランQBブレイディ(AP=共同)

 

 

 レギュラーシーズン中の顔合わせではペイトリオッツに軍配が上がった。大舞台の経験値では圧倒的にブレイディが有利だが、地元アローヘッドスタジアムで行われる試合だけに地の利はマホームズにある。

 

 勝敗を分けるのは戦況を左右する状況、いわゆる「クラッチタイム」でいかにプレーメークできるかだろう。

 ディビジョナルプレーオフでコルツと対戦したマホームズは、自身初めてのプレーオフにもかかわらず堂々とした戦いぶりだったが、20ヤードを超えるパスはほとんど成功がないなどパフォーマンスにムラがあった。

 

セインツのエースQBブリーズ(AP=共同)
セインツのエースQBブリーズ(AP=共同)

 ブレイディとペイトリオッツを相手にするのであればビッグプレー、特にロングパスの成功は不可欠だ。

 緊張とプレッシャーのかかる場面でそれが実現できるかどうかで、マホームズの真価が問われる。

 

 NFCは「不惑」を迎えても衰えを知らないブリーズのパッシングが目を引く。

 今季のパス成功率は74・4%で、自身が昨年樹立したばかりのNFL記録(72%)をあっさりと更新してしまった。

 レシーバーのパスコースを正確に把握し、絶妙のタイミングでパスを成功させる技術はリーグ随一だろう。

 

 対するゴフはパッシングだけに頼らず、RBトッド・ガーリーのランも巧みに駆使したバランスのとれたクオーターバッキングを披露する。

 昨年はプレーオフ初戦で敗れたが、今季は難敵のカウボーイズを破り、貴重な勝利体験をものにした。

カウボーイズ守備陣のタックルをかわしてTDを挙げるラムズのRBガーリー(AP=共同)
カウボーイズ守備陣のタックルをかわしてTDを挙げるラムズのRBガーリー(AP=共同)

 

 パッシング合戦になればどうしてもブリーズが有利だ。しかし、ガーリーへのランやパスを効果的に使って時間をコントールすることができれば、セインツの得点力を抑えることは可能だ。ゴフにとっては自分のプレースタイルを失わないことが重要だ。

 

 一昔前はQBとはいえ40歳を超えて一線で活躍するなど考えられなかったものだ。それが現在ではブレイディやブリーズが新たな常識を作りつつある。

 そこにマホームズやゴフのような若い力がどのように対抗できるか。

 QBの世代交代という意味で、見どころの多いカンファレンス決勝になりそうだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

最新記事