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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

好調カウボーイズが5連勝 WRクーパー加入で攻撃力アップ

2018.12.12 11:25 生沢 浩 いけざわ・ひろし
イーグルス戦で75ヤードのTDパスキャッチを記録したカウボーイズのWRクーパー(AP=共同)
イーグルス戦で75ヤードのTDパスキャッチを記録したカウボーイズのWRクーパー(AP=共同)

 

 NFLで「アメリカズチーム」と呼ばれるカウボーイズが好調だ。第14週のイーグルス戦に勝って5連勝。今季通算8勝5敗となり、NFC東地区で2位のイーグルスとレッドスキンズ(ともに6勝6敗)に2ゲーム差をつけた。

 数字上はイーグルスとレッドスキンズにも逆転の可能性は残されるが、レギュラシーズンはあと3週しかなく、カウボーイズが事実上2年ぶりの地区優勝に王手をかけた。

 

 イーグルスにはシーズンで2勝しているため、あと1勝すればたとえシーズン終了時に勝率が並んでいても優位に立つ。レッドスキンズとは1勝1敗だが、地区内対戦成績で上回るカウボーイズが有利だ。

 そのカウボーイズでひときわ輝きを放つのが、シーズン途中で加入したWRアマリ・クーパーだ。

 

 クーパーはトレード期限ぎりぎりの10月下旬にレイダーズから移籍してきた。2015年のドラフト1巡指名選手で、エースとして活躍してきた選手がシーズン途中にトレードされるのは異例だ。

 レイダーズには放出したい理由があったのだろうが、ディープスレットのレシーバーを求めていたカウボーイズには渡りに船のディール(取り引き)だった。

 

 カウボーイズは今年のオフにWRデズ・ブライアントをリリースした。TEジェイソン・ウィッテンも引退しており、QBダック・プレスコットのパスターゲットが不足する事態のままシーズンインを迎えた。

 

 ラン攻撃こそRBエジキール・エリオットを中心に安定していたが、アンバランスなプレーコールがシーズン序盤のオフェンスの不振の一因となっていた。しかし、クーパーの加入によってそれが一変する。

 プレスコットにとっては、スピードを生かしてフリーになってくれる心強いパスターゲットとなった。ブライアント不在で封印していたロングパスを存分に生かせるようになったのだ。

イーグルス戦でタックルを受けながらも前進するカウボーイズのQBプレスコット(AP=共同)
イーグルス戦でタックルを受けながらも前進するカウボーイズのQBプレスコット(AP=共同)

 

 さらに、クーパーがディフェンスからダブルチームカバーを引き出してくれることで、WRコール・ビーズリーや新人WRマイケル・ギャラップへのマークが薄くなり、活躍の場が広がった。クーパーの入団とチームの5連勝は無関係ではない。

 

 クーパーが加入してから6試合を経過した。この間、40回のパスキャッチで642ヤード、6TDを記録した。

 パスキャッチ数はチーム3位、獲得距離は1位で、TD数もエリオットと並ぶチームリーダーだ。

 チームに対するインパクトが強いだけでなく、主力選手としての地位をすでに確立していることがわかる。

 

 ちなみに今季レイダーズでも同じく6試合に出場したが、成績は22キャッチ、280ヤード、1TDである。

 シーズン合計7TDは2017年の自己ベストに並ぶ数字で、クーパーにとってもカウボーイズは能力を存分に発揮できる場だということができる。

 

 シーズン途中でのトレードは選手にとっては酷だ。いきなり環境が変わり、慣れないスキームでプレーしなければならないからだ。

 しかし、クーパーはむしろ移籍によって活路が開けた稀有な例だ。

 NFLではプレスコットやエリオットよりも1年先輩のクーパーだが、この3人がこれからのカウボーイズオフェンスの「新生トリプレッツ」となるのかもしれない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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