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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ランキング上位校が順当勝ち 米大学フットボール

2018.11.20 17:52 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
TDを挙げたオハイオ州立大のQBハスキンズJr.(7)(AP=共同)
TDを挙げたオハイオ州立大のQBハスキンズJr.(7)(AP=共同)

 

 波乱のほとんどない週だった。多くのチームにとって、今月最後の土曜日、24日の「伝統の一戦」という重要な試合を目の前にして、それぞれが大事に事を運んでしまったような気がする。

 ランキングチーム25校がすべて登場した22試合のうちで、番狂わせらしい試合は見当たらず、強いて言えばランク外のチームがランク校を食ったゲームが二つばかり。これとて年度が違えば逆もありうるカードだから、そう騒ぎ立てるほどのこともない。

 

 一つはランク9位のウエストバージニア大が、ランク外のオクラホマ州立大に41―45で敗れたゲーム。ビッグ12のリーグ戦に当たるカードで、ウエストバージニア大は前半、4TDに1FGの31点をマークし、オクラホマ州立大を第1、第2Q各1TDに抑えて優位に立っていた。

 ところが後半は様相が一転。第3Qで無得点に終わったウエストバージニア大に対し、オクラホマ州立大は10点を返して調子を上げ、第4Qには大量21点を奪って、最終的には豪快な逆転勝ちを演じた。

 

 もう一つは大西洋岸リーグ(ACC)でフロリダ州立大がボストンカレッジに22―21と1点差の勝利を収めたゲーム。

74ヤードのTDパスをキャッチするフロリダ州立大のWRテリー(15)(AP=共同)
74ヤードのTDパスをキャッチするフロリダ州立大のWRテリー(15)(AP=共同)

 ボストンカレッジはランク20位と例年とそう違わない評価だったが、フロリダ州立大のランク外は割合珍しかった。

 つまり年によっては逆も十分ありうるわけで、フロリダ州立大が第4Qの9点にものを言わせて、1点差の白星を手にしたが、双方の「格」から見て番狂わせと言えるほどのものではなかった。

 

 ランク校同士の「大一番」は3試合。3位のノートルダム大が12位のシラキュース大をヤンキースタジアムに迎えて大いに盛り上がったが、内容はノートルダム大のワンサイドゲームだった。

 とりわけ守備が圧巻で、シラキュース大を最終Qの3点に抑えて、36-3で大勝した。

 

 豊かな得点力を武器に今季大暴れで11位に位置するセントラルフロリダ大は、24位のシンシナチ大を38―13で下した。

 ビッグ12では15位のテキサス大が16位のアイオワ州立大を24―10とかわし、このリーグの重鎮としての貫禄を見せた。

 

 ランク10位のオハイオ州立大と、ランク外のメリーランド大が延長を戦ったビッグ10のリーグ戦は一番の熱戦だった。

 メリーランド大が立ち上がりから波に乗って、前半を24―17と優位に立った。第3Qも互いに7点ずつを挙げて譲らなかった。

 リーグ優勝まであと一歩のオハイオ州立大は、メリーランド大に先手を取られて苦しみ抜いたが、ここから粘りに粘って反撃。試合終了直前に辛くも同点のTDを奪って延長戦に持ち込んだ。

 

 延長はオハイオ州立大がパスで先取点。TFPも決めてメリーランド大を待ち受けた。TDを返したメリーランド大はここで思い切った2点コンバージョン。

 左から右へうまく走り出てマークの外れたレシーバーへ矢のようなパスが飛んだが、わずかに遠く不成功に終わり、52―51でオハイオ州立大が白星を手にした。

 

キックオフで相手選手を飛び越えて前進するクレムソン大のKRヘンドリック(10)(AP=共同)
キックオフで相手選手を飛び越えて前進するクレムソン大のKRヘンドリック(10)(AP=共同)

 ランキングの上位校は安泰でノートルダム大のほか、ACCをリードする2位のクレムソン大はデューク大を35―6と問題にせず、4位ミシガン大は31―20でインディアナ大を下してビッグ10の王座争いに踏みとどまった。

 5位ジョージア大も66―27でマサチューセッツ大に圧勝した。このような中で、首位アラバマ大は「ザ・シタデル」を50―17と寄せ付けなかった。

 

 「シタデル大」でもいいのだがこの教育機関、向こうではユニバーシティもカレッジもなく、定冠詞だけをつけて「ザ・シタデル」と呼んでいる。

 今回からこう表記してみようかという気になったので、当分はこれで行こうと思う。ただしNCAA内での格付けはFBS(旧1部A)ではなくFCS(旧1部AA)のチームなので、そのつもりでお付き合い願いたい。

 所属は名門のサザン・カンファレンス。念のため付け加えるが、現在のSECの母体でもある。

 

 「FBSのチームがなぜFCSのチームと?」と疑問も生じようが、これが米国のやり方の一つでもあるので、そのままお受け取り願いたい。

 アラバマ大はこのサザンのリーグとは毎年付き合い、昨季はマーサ―大、16年はチャタヌーガ大、15年チャールストンサザン大、14年ウエストカロライナ大と対戦しており、今季はザ・シタデルの番だった。

 

 SECの所属チームがすべてサザン・カンファレンスのチームと付き合っているわけではないが、格下リーグのレベルアップや、経済的支援を考慮したこのような試合の組み合わせを、日本ではどう受け止めるだろうか。

 本場のおおらかさを感じる試み、まことに面白い。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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