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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

深刻なRBの人材不足 苦戦続く昨季の王者イーグルス

2018.10.24 14:25 生沢 浩 いけざわ・ひろし
イーグルスオフェンスの中心的存在、QBカーソン・ウェンツ(11)(AP=共同)
イーグルスオフェンスの中心的存在、QBカーソン・ウェンツ(11)(AP=共同)

 

 昨年のスーパーボウル覇者イーグルスの苦戦が続いている。第7週を終えて3勝4敗となり、ついに負けが先行する形となった。

 NFCではラムズが7戦全勝と好調で、イーグルスは王座防衛が非常に難しい状況と言わざるを得ない。

 

 エースQBのカーソン・ウェンツが第3週から戦列復帰したものの、快進撃を続けた昨年の勢いはなく、いまだに連勝を記録していない。

 幸いにNFC東地区ではレッドスキンズ(4勝2敗)に次ぐ同率2位(カウボーイズと勝敗数で並ぶ)で、地区優勝でのプレーオフ進出の望みは十分にある。

 しかし、カンファレンス内での戦績は2勝3敗と振るわず、プレーオフにおけるシード順位に不利な影響が出そうだ。

 

 第7週のパンサーズ戦では、第4Q突入時には17―0とリードしていながら17―21で敗れた。

 第5週のタイタンズ戦でも最終クオーターで逆転され、FGで追いついてオーバータイムに持ち込んだものの再逆転で負けた。終盤で逆転されるのが最近のイーグルスの負けパターンだ。

 

 アメリカンフットボールの指導者たちは、こういう状況を「試合をフィニッシュできない」と表現する。つまり「試合に勝ちきれない」という意味だ。

 確かに昨年のイーグルスは終盤でもディフェンスのスタミナが落ちず、相手の追い上げを阻止してきた。オフェンスも終盤でも手を緩めずに加点を続けたところに強さがあった。

 

 それができていない一つの原因はRBにあるのかもしれない。大型バックで、終盤にはボールコントロールを実現させたルギャレット・ブラントはライオンズに移籍し、彼とデュアルバックで活躍したジェイ・アジャイは膝の靱帯断裂で今季絶望となった。

 3番手兼キックリターナーのダレン・スプロールズも足首のねん挫で戦列を離れたままだ。

 リードしている試合でランプレーによってじっくりと時間を使い、その間にスタミナを回復したディフェンスが相手を封じるという必勝パターンが今季は築けていないのだ。

イーグルス守備陣をリードするDEマイケル・ベネット(77)
イーグルス守備陣をリードするDEマイケル・ベネット(77)

 

 RB不足は深刻だ。パンサーズ戦ではウェンデル・スモールウッド、ジョシュ・アダムズ、コーリー・クレメントの3人でわずか55ヤードしか稼げなかった。

 ブラントやアジャイなら一人で、いや好調なら試合の前半だけで稼いでしまう距離だ。

 

 そこで噂されるのが新たなRBの獲得だ。シーズン第8週が終わる10月30日が今シーズンのトレードの期限だ。

 スティーラーズに在籍しながら契約交渉を不服としていまだチームに合流していないレベオン・ベルや、ビルズのルショーン・マッコイらの名前が取りざたされている。

 

 ベルはパスキャッチもうまく、その意味ではイーグルス向きの選手だが、年俸が1400~1700万ドルは必要と考えられており、球団経営に影響する恐れがある。マッコイはビルズが放出を否定している。

 どのチームにも属さないフリーエージェントでは、ジャガーズからリリースされたばかりのジャマール・チャールズがいるが、チーフス時代にエースバックとして活躍した彼もすでにピークを過ぎて久しく、イーグルスの求めるフィーチャーバックには考えにくい。ほかにはこれといった人材がいないのが現状だ。

 

 イーグルスは現有戦力のRBで残りのシーズンを戦うか、外部から人材を求めるかを早急に決断しなければならない。

 そして、この問題はイーグルスの今季の成績を左右しかねない大きなものとして立ちはだかる。

イーグルスRB陣の一角を担うジョシュ・アダムズ(33)(AP=共同)
イーグルスRB陣の一角を担うジョシュ・アダムズ(33)(AP=共同)

 

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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