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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

富士通RBニクソン選手は何がすごいのか コーチ多聞が分析

2018.9.27 11:00 中村 多聞 なかむら・たもん
ノジマ相模原との試合で大活躍した富士通のRBトラショーン・ニクソン選手(16)
ノジマ相模原との試合で大活躍した富士通のRBトラショーン・ニクソン選手(16)

 

 僕がコーチするノジマ相模原の今シーズン4戦目は富士通でした。ここまでの戦い方はチャンピオンチームそのものです。

 どう見ても強い。強すぎる。「(富士通のヘッドコーチ)藤田(智)さん、すごいチームを作りはったなー」と感心していてもダメなので、ノジマのランニングバック(RB)陣にはしっかり仕事をしてもらわなければなりません。

 

 僕がアサヒ飲料でプレーしていた頃、ヘッドコーチだった藤田さんはある強豪との試合前にこう言いました。「強いチームが勝つんやない。勝ったチームが強いんや!」

 その時の僕は「この人だいぶアホやな、当たり前やんけ」としか思いませんでしたが「藤田さんが大声で叫んでいるんだから間違ってるはずもないし、何か深い理由でもあるんだろうな」と軽く思いながら「そうじゃー、勝つんは俺らジャー!」なんて、自分でも叫んでいました。

 もちろんコレは「少しぐらい戦力で劣っていても、試合当日の気合いで結果はどうにでもなる!」という意味です。

 

 この藤田語録「強いチーム論」をそっくりそのまま現在の富士通にぶつけてみる、というのが僕の中での覚悟でしたが、我々は内容も点数も圧倒されてダブルスコアでの惨敗を喫しました。

 ノジマ側にも素晴らしいプレーがいくつもありましたが、RB陣は全く仕事をさせてもらえませんでした。

 

 富士通の新RBであるトラショーン・ニクソン選手。ここまで3試合の成績を数字でチェックすると驚異的な活躍をしています。

 どういう走りをするのか、興味がありました。彼だけを追いかけたビデオ撮影などは規約で禁止されているので、富士通戦をしっかり見るしかありません。

 しかし、同日開催だと自分たちの準備がありしっかりと見られません。もちろん別の日だったとしても、これまた自分たちの練習があるので見ることは不可能です。

 

 正式な手続きをして撮影されたビデオは作戦の全体像を把握するための物なので、選手個人が大きく撮影されません。

 なので、密集で何が起こっているのかは映像が不鮮明で謎のままでした。

 

 昔だったら必ずテレビ放送があり、テレビ局の高価な大型カメラ数台を使った撮影&放送があったので、選手の細かなテクニックや駆け引きを見ることができたのですが、便利な世の中になったにもかかわらずこれは極めて不便であります。

 作戦を考えるコーチではなく、技術指導に特化した僕みたいなコーチの仕事には、家庭用ビデオカメラで撮影した試合をウェブに置けるような低い画質ではほとんど役に立たないのです。

 

 結果的にニクソン選手は、パスキャッチを含めて18回で201ヤードを獲得。1度ボールを持つと平均11ヤード以上ゲインするという、我々ノジマがまるで下部リーグのチームのような記録を残しました。

 ビデオでチェックすると富士通のオフェンスラインも、細かな約束事を遂行した上に、目には見えにくいですがノジマの守備選手に力強く圧力をかけるのが非常にうまく、コーチの意図通りにキチンと仕事しているように見えます。

 だからと言って誰が走ってもニクソン選手と同じだけ走れるのかと言えば、そうでもありません。

 彼には日本では教えられていない理論がしっかりと備わっています。僕に指導を受けた選手であれば、その部分を理解できるかもしれませんので、ビデオを入手してぜひ勉強してみてください。

 

 ニクソン選手のどこがすごいのかを細かく検証して、フットボールファンのみなさんにご紹介したいのですが、項目が多すぎて文章が長くなるので次週にほんの一部分だけご説明してみようと思います。

 足が速い? もちろんそうです。100キロ超えた大柄だから強い? それもあります。

 パワーとスピードは日本のリーグで最速最強でしょう。そのあたりも含めてRBの技術評論家としてのマニアックな部分をご説明できればと思います。

 

 それより、ノジマのRBが全く仕事させてもらえなかった事実は残っています。このところ試合が続いていたので、しっかりした練習ができていませんでしたので、ハードにシゴキたいと思っています。クヤシー!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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