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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

スティーラーズ戦で6TDパス 好調チーフス支えるQBマホームズ

2018.9.19 11:37 生沢 浩 いけざわ・ひろし
第2週のスティーラーズ戦でスクランブルするチーフスのQBマホームズ(AP=共同)
第2週のスティーラーズ戦でスクランブルするチーフスのQBマホームズ(AP=共同)

 

 数年前まで遅々として進まなかったQBの世代交代が加速化してきた印象がある。

 カーソン・ウェンツ(イーグルス)、ジャレッド・ゴフ(ラムズ)、マーカス・マリオタ(タイタンズ)らの台頭がトム・ブレイディ(ペイトリオッツ)、ドルー・ブリーズ(セインツ)、ベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ)、フィリップ・リバース(チャージャーズ)らが活躍してきた時代に一石を投じつつある。

 

 そこにまた一人、生きのいい若手の登場だ。チーフスのパトリック・マホームズである。マホームズは昨年までのアレックス・スミスに代わってチーフスの先発QBを任されている。

 第2週のスティーラーズ戦では、6TDパスを成功させる活躍だった。これによってチーフスは、ピッツバーグで行われた試合では32年ぶりとなる勝利を手にするとともに、守備が売りのスティーラーズが1試合で許したTDパス数の最多記録に並んだ。

 

 開幕週のチャージャーズ戦でも4TDパスを決めているから今季のわずか2試合で早くも10TDを記録したことになる。

 2試合をまたいだTDパス数としてはNFL新記録だそうだ。計算上1シーズンで80TDに到達する。それはかなり難しいとしても、チーフスファンは新ヒーローの登場に大いに盛り上がっている。

試合後、スティーラーズのQBロスリスバーガー(右)と健闘をたたえ合うチーフスのQBマホームズ(AP=共同)
試合後、スティーラーズのQBロスリスバーガー(右)と健闘をたたえ合うチーフスのQBマホームズ(AP=共同)

 

 マホームズは昨年のドラフト1巡(全体の10番目)指名を受けてチーフス入りした。

 1997~98年に横浜ベイスターズ(現DeNAベイスターズ)に投手として在籍したパット・マホームズの息子であることも話題となった。

 

 じっくりと育てるというアンディ・リードHCの方針のため、なかなか出場機会を得ることはなかった。

 彼がNFLでレギュラーシーズンの舞台に立ったのは最終週だ。すでにプレーオフ出場を決めており、最終戦の勝敗がプレーオフでのシード順位に影響しなかったため、主力選手は体力温存のために欠場した。

 スミスに代わってブロンコスを相手に初先発、初出場を果たしたのがマホームズだった。

 

 この試合でのマホームズは35試投で22回の成功、284ヤードのゲイン。TDパスは記録できずに1インターセプトを喫した。パサーレイティングは76・4と振るわなかった。

 チーフスはタイタンズに敗れてプレーオフ初戦で敗退するが、その直後にスミスのレッドスキンズへのトレードを発表した。マホームズへのQB委譲が実現した瞬間だった。

 

 この世代交代には異論が噴出した。いずれはスミスからマホームズへ先発の座が譲られることは既定路線だったとはいえ、1試合のみの実戦経験で結果を出せなかったマホームズへの不安があったからだ。

 スミスをQBとして、チーフスがプレーオフの常連に名を連ねていたこともあった。

 

 しかし、2018年シーズンが明けるとマホームズはいきなり序盤の主役に躍り出る。

 テキサス工科大時代から肩の強さには定評があったが、今季は多くのレシーバーに投げ分けることができており、WRタイリーク・ヒルやTEトラビス・ケルシーといった豊富なレシーバー陣を有効に活用している。

 

 チームは2試合で計65失点をしているが、得点が80とそれを上回っていることが開幕2連勝につながっている。

 限られたオフェンス機会を高い確率でTDに結びつけていることの証拠で、マホームズの力が大きく働いているのだろう。

 

 スミス時代は着実なパスで手堅く勝っていく試合が多かったが、マホームズが指揮する攻撃ではハイスコアリングが可能となり、ますますリードHCの得意とするオフェンスが威力を発揮している。

 チャージャーズ有利と予想されたAFC西地区だが、ここにきてチーフスが新たに名乗りを上げた。マホームズの好調が続く限り、チーフスの快進撃も続きそうだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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