メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「何をやるかではなく、どうやるか」 自分に合った調整法を見つける

2018.9.6 11:30 中村 多聞 なかむら・たもん
アサヒ飲料時代に琵琶湖近くで行われた夏合宿に参加した中村多聞さん
アサヒ飲料時代に琵琶湖近くで行われた夏合宿に参加した中村多聞さん

 

 Xリーグは既に2節が終了しています。僕が熱心にフットボールをしていた15年ほどの間は、第1節が8月に催されたことがありません。必ず9月になってから始まっていました。

 しかし最近は8月のうちに開幕してしまうのです。生き残りをかけた強豪同士の対戦は、少し寒くなった最終節に近いところで「全勝対決」というタイトルが付いたりして行われていたものです。

 現在ではリーグ編成の考え方も大きく変わり、第1節から優勝候補同士が当たってしまう、僕らファンにとっては嬉しいマッチアップが組まれています。

 

 僕がコーチをしているノジマ相模原ライズも、8月の末に強豪LIXILとの対戦がありました。

 NFLのようにオープン戦があるわけでもなく、相手の戦力分析は昨年のデータを参考にするという、いびつな作業を強いられる各チームはとても大変だと思います。

 

 そして今までよりも1週間以上早いシーズン開幕で、選手は大変です。準備期間も真夏の炎天下ですので、異常な暑さの中で練習を積まなくてはなりません。

 学生さんのように、涼しくなる夕方から照明をつけて練習すれば少しは暑さをしのげますが、都合よくグラウンドを確保できない我々ノジマの場合、それなりの苦労があります。

 

 基本的にサッカーチーム優先(男女ともに有名プロチーム)のノジマのグラウンドでは、ライズは正午を挟んだ「とっても暑いちょうどお昼」に練習するプランになります。

 時にはミーティング室やシャワー室が都合よく使えない場合もあったりと、LIXILとの対戦前に対処しなければならないことが多々あり、僕の選手時代がいかに恵まれた環境だったのかヒシヒシと感じます。

 

 その中で選手たちは真摯にフットボールに向き合い、一生懸命練習してきました。第1節のLIXIL戦は運よくノジマに軍配が上がりました。

 新外国人QBBのジミー・ロックレイ君もチームやリーグ、そして日本人選手のプレースタイルに慣れ、チーム内でのゲームMVPを獲得するなど、勝利に貢献してくれたことは、これを読んでくださっている皆さんもご存知でしょう。

 

 第2節の相手も、これまた強豪のオービック。あらゆるポジションにタレントを擁する春の東日本王者です。

 ノジマのミスが重なり第1Qでいきなり0―17とされてしまいます。一時はどうなることかと思いましたが、全員で踏ん張りどうにか逆転し2連勝としました。

 僕の担当するランニングバックは、全員で2ゲームの合計が約160ヤードを獲得し、まずまずの活躍を見せています。

 

 早稲田大学の方は、昔ながらの9月開幕で辛くも1勝しましたが、ランの獲得距離がまだ試合をしていない立教大学を除く6チーム中4位と全く振るいませんでした。

 次節は法政大学を倒した明治大学との対戦です。好ランナーを多く輩出している明治大学ですが、守備も堅い難敵です。早稲田のランユニットがどれだけ頑張れるかが、勝つための鍵になります。

 

 ここまでは、事実に基づいた試合結果をチームの中から見た僕の感想を述べてみました。この後は、シーズン開幕を迎えた自分が昔どうやってこの夏の開幕を過ごしていたのかを思い出してみることにしました。

 年度順ではなく、思い出した順で挙げてみると以下のようになりました。末尾の○や×はそのシーズンの個人及びチーム結果を表しています。

 ・9月までアメリカにいて夏の練習をしていない○

 ・引退していて夏の練習をせず10月から合流○

 ・ボクシングで94キロまで減量し夏の練習が暑くなかった×

 ・飲み過ぎで太り調整失敗×

 ・ファスティングで体調最高も初戦で手術を要する大けが×

 ・夏のオフを取らずぶっ通し練習○

 ・ヨーロッパから帰国後8月末にチーム移籍○

 ・現役最後の37歳では沖縄に移住しトレーニングを積む×

 ・夜の仕事へ転職で調整失敗×

 

 約半分ほど思い出しましたが、僕の場合夏の練習を頑張ろうがサボろうがシーズンの結果には因果関係がなかったようです。

 このコラムのシリーズである回想物語でも、今後はその辺りも詳しく出していきたいと思います。

 

 フットボールはポジションによってまるっきり特性が違ったりと、とにかく難しい競技です。

 暑い時に苦しめばうまくなるというものでもなく、体を休めれば動きが良くなるわけでもありません。意味のある練習を繰り返してわずかな効果を得るには「タモン式ランニングバック養成所」の理念でもある「何をやるかではなく、どうやるか」が、とても大切になります。

 

 1月まで続く長いシーズンでしっかり活躍しながら、けがや病気をせずにヘルシーな状態で生き残るのは至難の技です。

 自分に合った調整方法を早く見つけて、全ての試合でチカラを発揮できなければ「良い選手」になれません。皆さんまた今日から頑張りましょう!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

最新記事