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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ノートルダムがミシガン破る 米大学フットボールが開幕

2018.9.5 12:44 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
ルイビル大との開幕戦に先発したアラバマ大の2年生QBタゴバイロア(中央)(AP=共同)
ルイビル大との開幕戦に先発したアラバマ大の2年生QBタゴバイロア(中央)(AP=共同)

 

 秋が来た。本場米国で大学フットボールシーズンが幕を開けた。数多くのスポーツはあるが、「さあ来たぞ」とつい身構えてしまうのは、この球技ならではの魅力だろう。

 

 全米大学体育協会(NCAA)のフットボール競技の最上級部門、フットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS)は所属の130校が、8月最終週から12月第2週にかけて、レギュラーシーズンとリーグの優勝決定戦などを行い、12月半ばから新年1月7日までのボウルゲームと選手権大会とでその幕を下ろす。

 

 さてその滑り出しは、AP通信とUSAトゥデー紙の両ランキングに名を連ねる26校が勢ぞろいし、順当勝ちあり、延長戦あり、番狂わせありと話題に富んだ開幕戦を繰り広げた。
 この週の〝目玉商品〟ランク校同士の対戦は4試合で、興味深い組み合わせだった。

 

 9月1日のトップ10クラスの激突では、9位のオーバーン大が21―16で6位のワシントン大に競り勝った。そして12位のノートルダム大は24―17で14位のミシガン大を退けた。

 翌2日はランク末席、25位のルイジアナ州立大が登場し、ベスト10の常連でランク8位に推された、フロリダ州のマイアミ大を33―17で倒した。

 3日には20位のバージニア工科大が、一つ上のランク19位フロリダ州立大に24―3で快勝した。

 

 ランキングに多少の上下はあっても下位が上位を倒すケースは決して希ではない。またランク外のチームがランキング校に黒星をつけることも珍しくはない。

 この週は1日、ランク外のメリーランド大がランク23位のテキサス大に34―29で競り勝ち、名門対決を制した。

 

 ランク校の延長戦はペンシルベニア州立大。サンベルト連盟(SBC)所属のアパラチアン州立大に食い下がられ、大激戦の末延長戦を45―38で制した。

 このほか一段階格下のフットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(FCS)のチームがFBSの胸を借りる試合も、この序盤の時期には結構数多くあって、開幕週にはざっと50試合が組まれている。

 結果は言うに及ばずとお思いだろうが、なかなかどうして。8月31日から9月1日にかけて5試合でその「奇跡」が起きている。

 

 まずこうしたこぼれ話的な成績を拾い上げることはもうないと思うが、それだけに一度ご覧になるのも一興だろう。

 まずはアメリカン体育連盟(AAC)のイーストカロライナ大がFCS中東部体育連盟(MEAC)のノースカロライナ農工大に23―28で敗れた。

 ACCのテンプル大もコロニアル連盟のビラノバ大に17―19と小差の敗戦。USA連盟(C―USA)のテキサス大エルパソはビッグスカイ連盟(BSC)のノースアリゾナ大に10―30で屈し、山岳西部連盟(MWC)のサンノゼ州立大も同連盟のカリフォルニア大デービスに38―44で負けた。

 ビッグ12の名門カンザス大はサウスランド連盟(SLC)のニコルズ大に23―26で黒星を喫している。FBSとFCS対決の1割は、このような番狂わせに彩られているようだ。

 

 注目のゲームの中身をいくつか紹介する。
 まずは南東リーグ(SEC)のオーバーン大。ジョージア大とともに1位アラバマ大への有力挑戦者の呼び声が高く、開幕前のランクは9位だが、強力な攻守のラインを擁し今季も上位進出を狙っている。

 太平洋12大学のワシントン大はランク6位。オーバーン大にとっては上位進出の手掛かりの一つと見てもいい相手だ。オーバーン大が攻守に積極的だったのもうなずけよう。

 

 オーバーン大は立ち上がりから攻守ともに積極的。特に常に激しいパスラッシュを仕掛け、ハイズマン賞有力候補のQBジェイク・ブラウニングを封じて、ワシントン大の攻撃力を削いだ。

 攻撃も最初のドライブをテンポよく運び、QBジャレル・ステッドハムがWRサル・カネリアへ10ヤードのTDパスを決めてペースをつかんだ。
 ワシントン大は第4Q初めにFGで16―15とリードしたが、オーバーン大はすかさず反撃。RBのJAターベリアス・ウィロウがドライブ最後の10ヤードを走り切った。

 勝ちを決定づける2点のTFPに挑みながら、これには失敗した。5点差の白星は終わってみればご愛敬だった。

 

 ノートルダム大も前半の手堅い試合運びにものを言わせてミシガン大を倒した。まずはレッドシャツの1年生RBジャファ・アームストロングが開始1分25秒で13ヤードのTDランを決めた。7プレー、75ヤードのドライブだった。

 これに勢いづいて7分9秒にはWRクリス・フィンカーがQBブランドン・ウィンブッシュからの43ヤードパスを受けて加点した。これも7プレー、96ヤードの見事なドライブだった。

 

 ミシガン大は第2Q半ばから盛り返したが、ノートルダム大MLBデボン・コーニ―が率いる守備網を崩せず後手後手に回った。

 ノートルダム大は攻撃でも第2Q終盤、アームストロングが4ヤードを突破して75ヤードを15プレー、7分37秒もかけたドライブを締めくくって見せるなど、地元ファンを大いに喜ばせた。

 

 試合の攻守の統計を見るとトータルヤードはノートルダム大302ヤード、ミシガン大307ヤードと互角の数字が並んでいるが、試合開始時にペースをつかんだノートルダム大の戦いぶりが1TDの差を生んだ。

 

オレゴン州立大戦でTDを挙げ、チームメートに祝福されるオハイオ州立大WRマクローリン(AP=共同)
オレゴン州立大戦でTDを挙げ、チームメートに祝福されるオハイオ州立大WRマクローリン(AP=共同)

 アラバマ大はルイビル大を51―14で圧倒。ランク5位のオハイオ州立大はオレゴン州立大を77―31で下した。

 

 なおNCAAは10日ほどあるこの開幕の期間を「開幕週」と一括りにしており、ハワイ大やワイオミング大など6校がすでに2試合を消化している。この辺りが米国のおおらかさといえるかもしれない。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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