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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.245

2018.8.9 12:38 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
東京・桜上水にある日大グラウンドには「甲子園ボウル」で優勝した時のスコアと対戦相手が書かれたパネルが掲示されている
東京・桜上水にある日大グラウンドには「甲子園ボウル」で優勝した時のスコアと対戦相手が書かれたパネルが掲示されている

 

 甲子園ボウルの優勝回数を示す21枚のパネルに見守られて、「日大フェニックス」が練習を再開した。

 

 帰省休暇が明けた8月7日、東京・桜上水にある日大グラウンド。

 「危険タックル問題」で関東学生連盟から公式試合の出場資格を停止され、秋のリーグ戦に出場できないフェニックスの選手、スタッフが久しぶりに集合した。

練習を再開した日大の選手たち
練習を再開した日大の選手たち

 

 この日は、9月1日付で新監督に就任する予定の元立命大コーチの橋詰功氏が、初めて学生全員と対面した後、報道陣の取材に応じた。

 緊張した面持ちと、慎重に言葉を選んだ語り口。名門チームを率いる責任の重さを実感しているように見えた。

 

 橋詰氏は55歳。高校の指導を含めて、コーチ経験は20年以上になるが、監督の立場でチームをまとめた実績はない。

 「なぜこれまで監督をしていなかったのか?」という質問にはとても答えにくそうだった。日大というチームについても「あまりよく知らない」と正直に明かした。

 

 練習前のミーティングでは「一緒に、日本一にふさわしいチームにしていこう」と語りかけた。熱い思いを、短い時間で伝えたという。

 

後輩のサポートに徹すると話す日大の徳島秀将主将
後輩のサポートに徹すると話す日大の徳島秀将主将

 徳島秀将主将(QB)は、その言葉を前向きにとらえていた。

 「日本一のチームにするためには、普段の生活から改めないといけない。日大が甲子園ボウル出場を果たしたときに、あの年の4年生のおかげと言われるように、できる限りのサポートをしたい」

 

 ただ、目標を失った33人の4年生の多くがチームを離れる可能性が高い。

 学生王者が、前体制が残した負の遺産と大学の危機管理能力のなさが原因で、連覇を目指した最終学年のシーズンで試合に出られない。厳しい現実に直面し、難しい決断を迫られている。

 

 橋詰氏は言う。「日本一強くて、日本一フットボールがうまいチームではなく、日本一素晴らしいチームを学生と一緒に一から作っていきたい」

 覚悟に満ちた決意表明が、学生の心に響くことを期待したい。(編集長・宍戸博昭) 

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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