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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

キーワードは「移籍」「新人」「復活」 NFLキャンプが本格化

2018.7.31 13:09 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ドラフト全体1位指名のQBメイフィールドは、低迷するブラウンズで先発の座を目指す(AP=共同)
ドラフト全体1位指名のQBメイフィールドは、低迷するブラウンズで先発の座を目指す(AP=共同)

 

 NFLではトレーニングキャンプが本格的に始まった。

 数多くのポジションのなかでQBが注目を浴びるのは毎年のことだが、今季のキーワードは「移籍」「ドラフト1巡指名の新人」「復活」だ。

 

 昨年チームの先発を務めたベテランQBたちが次々と移籍し、新チームのスターターとなる予定だ。

 これだけ多くの先発QBが一気にチームを替えるのは異例のことだ。

 

 まず、チーフスがアレックス・スミスをレッドスキンズにトレード。2014年からレッドスキンズのスターターを務めながら、チームから長期契約を受けられなかったカーク・カズンズはフリーエージェント(FA)となってバイキングズへ移った。

レッドスキンズからFAでバイキングズへ移籍したQBカズンズ(AP=共同)
レッドスキンズからFAでバイキングズへ移籍したQBカズンズ(AP=共同)

 

 さらに昨年バイキングズの3番手QBから先発に昇格し、チームをNFC決勝にまで導いたケース・キーナムはブロンコスに新天地を求めた。

 

 まさに「玉突き人事」の様相だが、共通しているのはパスに安定感があることだ。スミスはショートパスの成功率が高く、カズンズとキーナムは強肩が武器だ。やはり好パサーはNFLで需要が高いのだ。

 こうしたベテラン勢に対して、新人QBもキャンプでNFL選手としての第一歩を踏み出した。

 今年のドラフトでは1巡だけで5人のQBが指名された。久しぶりのQBの当たり年だった。

 

 全体1位指名のベイカー・メイフィールドは昨季全敗のブラウンズで先発を目指す。もっとも、ブラウンズはメイフィールドの実戦投入には急がない方針で、今季は早くても後半までは出番がないものと思われる。

 

 ジェッツが指名したサム・ダーノルドはベテランのジョシュ・マカウンとバイキングズから移籍のテディ・ブリッジウォーターに続く3番手としてのキャンプインだ。

ジェッツの3番手QBとしてキャンプインした新人QBダーノルド(AP=共同)
ジェッツの3番手QBとしてキャンプインした新人QBダーノルド(AP=共同)

 

 マカウンは高齢、ブリッジウォーターは過去2年のほとんどを負傷で棒に振っていることもあり、新人のなかではダーノルドの先発デビューは早いかもしれない。

 

 ジョシュ・アレンが入団したビルズでは先発争いが熾烈だ。残留組のネイサン・ピーターマンにFA加入のA.J.マキャロンとアレンが挑む。

 現時点では経験でマキャロンが先行している。カージナルスのジョシュ・ローゼンは引退したカーソン・パーマーの後任として期待される。

 

 レーベンズのラマー・ジャクソンはジョー・フラッコとの併用プランもある。ジョン・ハーボーHCは春の時点で二人が同時にフィールドに立つプレーも用意すると述べており、独創的なゲームプランが披露されるかもしれない。

 

 さて、新たなスタートを切ろうとするQBたちの陰で、けがからの復帰を目指す選手もいる。アンドルー・ラック(コルツ)とライアン・タネヒル(ドルフィンズ)だ。

 ラックは2015年から肩の負傷に悩まされており、昨年は全試合を欠場した。数回の手術を経て、最近になってようやくパスを投げ始めたばかりで、キャンプでもコンディションにより気を配った練習を続けている。

 

 ラックといえばペイトン・マニングの後継者としてドラフト1巡指名され、デビューから3年連続でチームをプレーオフに導く活躍を見せた。

 その一方で、パスプロテクションが弱いことなどから故障が相次ぎ、最近はチームも低迷気味だ。ラックの復調はコルツにとって不可欠だし、ラックも今季も負傷するようであれば引退の可能性も出てくる。まさに正念場だ。

 

 タネヒルは2016年のレギュラーシーズン終盤で膝を故障し、その影響で昨季も全休した。

 2016年はチームが8年ぶりにプレーオフに出場したが、その立役者の一人であるタネヒルがフィールドに立てないという皮肉な結果となった。それだけにプレーオフに対するタネヒルの執着は強い。

 

 QBはチームの戦力を大きく左右する重要なポジションだ。それだけにチームも多額の投資をする。

 移籍、ドラフト、故障からの復帰がどのような結果をもたらすのか。チームにとっては大きな賭けでもあるのだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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