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共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

オフに鍛えろ!「タモン式渚のゴリゴリ合宿」~前編~

2018.7.12 11:48 中村 多聞 なかむら・たもん
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「タモン式渚のゴリゴリ合宿」の初日はサーフィン特訓
「タモン式渚のゴリゴリ合宿」の初日はサーフィン特訓

 

 「早稲田も春のシーズンが終わったししばらくオフだね」「もっともっと鍛えたり練習しないと絶対優勝なんてできないよ」「でも、勝てなくったって大学時代の良い思い出になるし青春の1ページとして記念になるね」

 なんて皮肉満載で学生さんらと話をしている中から「じゃあタモン式の合宿でもしてくれません?」となり、あっという間に話がまとまり、7番元山と30番片岡の希望した日程で宿を探すことになりました。
 

 人数が確定しない中で宿をとるなど不可能ではありますが、トレーニングするための条件を満たし、空室のある宿をピックアップ。結果的に選手10人、コーチ2人での開催となりました。1週間前に決めた割にはよく集まったと思います。
 

 学生の皆さんはいろいろと忙しいので十分な日程は確保できていませんが、現役時代に僕が敢行していたトレーニング内容をギュウギュウに詰め込むような形式で、人数に合わせたマイナーチェンジを施しプランしました。
 

 千葉県の九十九里がキャンプ地です。波が高いのであまり海水浴には向いていないビーチが多く、休日でも観光客が少ないことで有名です。

 ですから砂浜は走り放題です。僕自身も行ったことのないビーチでしたが、まあどうにかなるでしょう。
 

 選手たちが電車で到着するより3時間ほど前に車で現地に行き、砂浜の広さや傾斜、それに砂質やゴミの落ち具合などをチェック。まあ合格です。

 少しビーチクリーンでもすれば大丈夫なレベルで一安心。あとは食料や水の確保をし、彼らを待ちます。
 

 初日の1限目は「波乗り」です。「サーフィン? え、マジっすか! やった、最高っすね!」と選手たちは喜んでいます。

 予約しておいたサーフィンスクールでたっぷり3時間遊んでもらいます。
 

 サーフィンはスポーツの中でも最も難しいものの一つで、そもそも「波に乗って立つ」というところに到達するだけで一苦労するので、ほとんどの人がくじけて辞めてしまうスポーツです。

 それほど取っ掛かりが難しいのです。ましてや高校時代から現在までフットボールやその他の競技スポーツに明け暮れ、マリンスポーツどころか海水浴をする時間すらない本気の体育会な彼らです。大半が初サーフィンです。
 

 初めて。つまりメチャクチャしんどいのです。1時間で準備体操と講習、残り2時間は海の中。着慣れないウエットスーツで荒波の上を腹ばいでバランスを取りながらパドリングします。

 立とうとしては沈没の繰り返し。海水は冷たく体力をどんどん奪われます。でも楽しいので一生懸命チャレンジしてしまう。
 

 しかし狙いは体力の消耗だけではありません。初めてのことにチャレンジするとき、何が重要で何が難しいのか。インストラクターの説明をよく聞いて、内容をしっかり理解する。

 イメージしきれなかった謎の部分を質問。陸上で訓練と説明受け、どうしてこんなことをするのか、先に待っている壁はなんだろうか。海に入って試してみると当然うまくいかない。そこでさっきの説明を全て思い出して次に生かせるかどうかにかかってきます。
 

 沖には上級者のサーファーが素晴らしいお手本を見せ続けています。それを観察して下手くその友人らと何が違うのかを解析。「体がうまく使えていない理由は何なのだろう?」

 なんてことを考えながら反復して反省して上達していく。そこはランニングバック(RB)と同じです。

 

 テレビやネットで見たNFL選手の鋭い動きには、どんな謎が隠れているのかを検証するときと同じです。

 そしてその次にバランスを取るときの考え方です。進行方向に体重をかければ加速、後ろなら減速。右なら右、左なら左。そして足元ではなく遠くを見る。

 フィールドを走っているランニングバックと同じですね。こんな感じで正午までサーフィントレーニング。「いろんなことを体験して学んでもらえればな」というのが、サーフィンをしてもらう最大の理由です。昼食をとり午後の鍛錬へ移ります。
 

 2限目は「40ヤード走」です。このコラムで度々書いていますが「走り」のほとんどの要素が詰め込まれているこの競技で好成績を出せないようだと、トップレベルの試合で役に立たない確率が上がります。

 止まっている自分をロケットスタートさせるにはどうすべきなのか。低速域で力強く進むコツは。だんだんスピードが乗ってくる時に注意すべきことは。

 加速が完了し最高速度を維持するにはどのような技術が必要か、などを勉強します。
 

 

 単純に40ヤードが早くても試合での活躍には直結しませんが、あらゆるシーンで「40ヤードを早く走る練習」が役に立つのです。

 ですからただひたすら走っていてもダメですが、考えているだけでも駄目です。

 

 重要なことを理解した上で、おびただしい量の反復を繰り返していく中で「コレか!」とひらめくまでやり続ける必要があります。
 このような感じで「タモン式渚のゴリゴリ合宿」は進んでいきます。
 
 続きは次週!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優 勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は梅田と西麻布でバーガーショップを運営する有限会社 タモンズ代表取締役。。

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