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共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

最強RBになるために「タモン式夏合宿@九十九里」を実施

2018.7.5 14:00 中村 多聞 なかむら・たもん
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夏合宿に向けて気合い十分の中村多聞コーチ
夏合宿に向けて気合い十分の中村多聞コーチ

 

 ノジマ相模原対早稲田大学の練習試合で両方のチームを行ったり来たり23回の特殊体験をしましたが、先日行われた試合は早稲田の1年生対中央大学の1年生の「新人戦」というものです。

 一つのチームのコーチをするのが、こんなに簡単なんだと再認識しました。

 

 両チームともに限定された同じ作戦を使って、単純にチカラのぶつかり合いを楽しむのです。

 セコくゴチャゴチャと複雑にしたヘンテコなプレーがない、非常にわかりやすくて若者らしいフットボールです。

 作戦で勝負するのではなく、ミエミエでバレバレのプレーとわかっていてもしっかりチカラを発揮して戦う。見ていてすがすがしかったです。

 

 彼らが何年か後、早ければ今シーズンにリーグ戦を盛り上げる活躍を見せてくれればいいのですが。

 ランニングバック(RB)にも将来有望な選手がたくさんいます。非常に楽しみです。

 

 早稲田はこのゲームで春のシーズンが終了し、夏期テストが始まるのでチーム練習ではなく自主トレ期間になっていきます。

 学生の本文は勉学で、ビッグベアーズは文武両道を目指す組織ですのでオフ期間も選手たちは大変です。

 

 僕がコーチを始めてから2年以上が経過し、フットボールといいますかRBを見る視線や考え方がどうもコーチ寄りになってきています。

 とはいえ、企画運営や戦術、戦略立案にはほとんど関わらないので近所のオッサンがフラッと遊びに来ているに近いのですが「フットボールの難しさ」への理解がボケてくる面が稀に起こってしまいます。

 昨年も夏の間はチームの倉庫に眠っていたヘルメットとショルダーパッドを借りて、選手の練習台になったりしながら力の入れ具合だったりの技術面や、実際に対人でヘルメットにヒットを受ける(ヒットする)感覚と言うか衝撃を味わっておきました。

 

 昔自分ができたことややろうとしたことを、さも簡単なことのように選手たちに説明したり反復させたりしてはいるものの「コーチが口で言うほど簡単だったか?」を検証するためです。

 選手の大変さと苦労を忘れて、あくまでも客観的に評価して指導していても話が前に進まないこともあるので、何とか健康で体が動くうちは、自分の運動のためにも「選手目線」に立って指導内容を変化させています。

 昨年借りていた防具一式は誰かが使っているのかなくなっていたので、専門店で旧モデルの現品特価激安品を大特価で購入しました。

 

 まあ今の時代、40歳以上しか入部できない「シニアフットボールリーグ」があるくらいですから、49歳になった僕も張り切りすぎなければ命の危険はないでしょう。

 大けがをしないように油断せず慎重に行動します。

 

 そしてオフ期間だからこそ鍛え放題なわけですので、Div.1所属の選手限定で希望者を募り、今週末「タモン式夏合宿@九十九里」を実施することになりました。

 僕自身が選手としてピークを迎える少し前からやっていたトレーニングを、みんなに体験してもらう企画です。

 

 2日間で18時間みっちり、泣くほど「最強RBになるための鍛え方」を学んでもらいます。

 それぞれのチームが行う夏合宿が単なる「レジャー旅行」に感じられるような、充実したプログラムを用意してあります。

 

 砂浜というのは慣れていなければ歩くだけでも大変です。油断すればスグにバランスを崩しますし、体が数十キロ重く感じる素晴らしい練習場です。

 今回予定している10コマ9種類の「タモン式トレーニング」は、全員が人生最速の脈拍で笑いながら運動し続けるための工夫が施されています。

 

 台風が近づいてきているので、暑さと日焼け地獄は免れるかもしれないのが彼らにとってはラッキーかもしれません。

 水やスポーツドリンクを用意してくれる人、出血を止めてくれる人、痛そうにしていたら心配してくれる人、痛いところを揉んでくれる人、いつも甘えまくっている人たちが全くいない中で〝最悪の指導者〟が時間を気にせずゴリゴリにシゴくわけです。

 彼ら彼女らサポート部隊が存在する「ありがたさ」を心の底から痛感することでしょう。

 

 勝手知ったる練習場ではない、行ったこともなければどんな練習内容かもわからない、砂浜といっても濡れた波打際や乾燥した部分では全く違います。

 雨や風の影響、あらゆる未知の部分を可能な限り予測して準備しておく。心の準備しかり、適したシューズやウエアの選択、その場その場の状況判断はもちろんですが、この「未知への準備」が参加者にとって非常に大変だと推測されます。

 

 トレーニング以外での移動はバスなのかタクシーなのかそれとも徒歩なのか。どのくらいの荷物を担いでいてもみんなが進む速度に影響を与えないのか。飲料水は持っていくのか買えるのか。

 灼熱の砂浜に水を置いておけば少しの時間で熱湯に変化してしまう、そのためにはクーラーボックスが必要か。

 でもそんなものを運ぶのは大変かもしれない、日陰はあるのか、気絶やけがをしたら誰が処置してくれるのか。

 十分に予測して何が起こっても動じず冷静に判断し行動する。こういったこともこの合宿で身につけてもらう項目の一つです。

 とはいっても、結局は楽しい慰安旅行なのかもしれません。質問の中に「酒は飲まされますか?」というのもありました。

 

 トレーニングが超のつくハードな内容なのは言うまでもありませんが、逆境の中でいかに立ち回ることができるのか。

 想定内のことしか起こり得ないフットボールの試合を、この合宿を経験すれば本当の意味での「ゲーム」と感じられるようになるかもしれません。さあ皆さん頑張りましょう!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優 勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は梅田と西麻布でバーガーショップを運営する有限会社 タモンズ代表取締役。。

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