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共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

変わるキックオフのルール NFL、2018年シーズンから導入

2018.5.29 14:29 生沢 浩 いけざわ・ひろし
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練習するカウボーイズの選手たち(AP=共同)
練習するカウボーイズの選手たち(AP=共同)

 

 2018年のNFLではキックオフのスタイルが変わる。選手の安全強化の目的で毎年のようにルール改正を行うNFLだが、今年はキックオフがその対象となった。

 

 今回のルール改正では以下の点が主なものだ。まず、キッキングチームは自陣34ヤードと35ヤードラインの間にセットアップしなければならない。

 従来は30〜35ヤードの間だったから、奥行きの5ヤード分だけ助走のスペースがあった。新ルールではそのスペースがない。これはあえて選手のスピードを減少させることで衝突の際の衝撃を緩和し、けがの可能性を低くすることが目的だ。

 

 キッカーを挟んで左右に配置する人数も5人ずつと決められた。これはオンサイドキックに影響が出る。

 昨季までは片側に6人集めてそのサイドにキックをするチームが多かったが、それが許されなくなる。キッキングチームはオンサイドキック成功にさらなる工夫が要求される。

 

 リターンチームにも新たな制限が設けられる。リターン側はキックオフのラインから10〜15ヤードのエリア(セットアップゾーン)に最低8人の選手を配置しなければならない。

 すなわち、リターナーと最大2人のブロッカーのみが自陣奥深くでキックオフを待つことになる。

 また、従来は二人のブロッカーによる場合だけ許されていたウェッジブロック(選手が肩を寄せるようにして接近して相手を強くブロックすること)が廃止される。

 

練習する49ersの選手たち(AP=共同)
練習する49ersの選手たち(AP=共同)

 

 キックされたボールは、レシービングチームの選手に触れずエンドゾーン内でグラウンドに接触した場合、その時点でボールデッドとなりタッチバックになる。

 

 今回のルール変更は衝突の機会とその際に選手が受ける衝撃を可能な限り少なくするためのものだ。

 キックオフ地点からセットアップゾーンの間でのブロッキングは禁止される。リターン側のブロッカーたちはセットアップゾーンから下がり、リターナーの前でキックカバーチームを待ち受けることになる。

 この動きそのものは従来と大きく変わるものではないが、スピードが乗らない分だけコンタクトによる負傷は減るとNFLは考える。

 

 このルール改正はリターナーにとっては有利だ。ボールをキャッチした瞬間はまだカバーチームが遠くにいる可能性があるからだ。

 ブロッカーにとってもスピードが乗っていないカバーチームはブロックしやすいはずだ。15〜25ヤード前後のリターンが増える可能性がある。

 

 もっとも、キッキング側はそれを防ぐためにエンドゾーンに蹴り込んでくるだろうから必然的にタッチバックがより多く見られることになる。

 

 一時はキックオフそのものが廃止される案もあったが、ゲームの中で盛り上がる場面の一つでもあるため反対意見も根強かった。そこで提案されたのがこの折衷案だ。

 こうしたドラスティックなルール改正はプロボウルやプレシーズンゲームで試行してから最終決定に及ぶのが常だが、今回はぶっつけ本番の施行だ。それだけNFLが安全対策に真剣だということを内外にアピールする目的がある。

 新ルールがどんな影響を及ぼし、各チームがそれに応じてどのような工夫をこらしてくるかも今季の注目点となりそうだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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