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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ハンディ克服しNFL入り シーホークスに指名されたシャキーム・グリフィン

2018.5.3 10:00 生沢 浩 いけざわ・ひろし
双子の兄弟のシャキール(右)と記念撮影するシャキーム・グリフィン(AP=共同)
双子の兄弟のシャキール(右)と記念撮影するシャキーム・グリフィン(AP=共同)

 

 以前このコラムで紹介した、左手首から先がないフットボール選手、シャキーム・グリフィン(セントラルフロリダ大)が、シーホークスから5巡指名を受けて念願のNFL入りを果たした。

 シャキームは双子の兄弟で昨年3巡指名を受けたシャキールとチームメートになる。

 

 シャキームが指名の知らせを受けたのはドラフト3日目のことだった。現地報道によればトイレに立った際に連絡があったらしく、それに気が付いたシャキールが慌てて追いかけてきたということだ。

 

 「はじめはシャキールにタックルされるのかと思ったよ」とグリフィンは笑う。

 「指名されたことにとても感謝する。指名を待つ3日間は長かったけど、フィールドでしっかりと練習して素晴らしいことを成し遂げたい」

 

 シャキームは生まれながらにして左手に羊膜索症候群を患い、4歳の時に手首から先を切断した。

 しかし、ハンディを克服してフットボール選手として活躍し、セントラルフロリダ大ではDBやLBを務めた。スカウティングコンバインでも好記録を出したのは前出のコラムで紹介したとおりだ。

左手首から先がないハンディを克服しNFL入りを果たしたシャキーム・グリフィン(AP=共同)
左手首から先がないハンディを克服しNFL入りを果たしたシャキーム・グリフィン(AP=共同)

 

 シーホークスのピート・キャロルHCは、コンバインでの面接でグリフィンの人柄に惚れ込んだという。

 「彼はとても印象深い選手だ。自分の経歴のこともきちんと話すし、自分に与えられたチャンスがどんな意味を持つのかも理解している。彼がフットボール界で活躍することはとても意義のあることだし、我々も学ぶところがある。いや、何よりも彼はフットボール選手として素晴らしい」とキャロルは語っている。

 

 シーホークスでのポジションは未定とのことだ。パスラッシャーとしての役割を与えられる可能性が高いが、キャム・チャンセラーのように大型Sとして起用するプランも浮上している。

 

 いずれにせよ、グリフィンは新たなステージへ足を踏み入れた。プロの世界はカレッジとは比べものにならないほどレベルが高い。

 そのなかで左手がないというハンディを克服するのは並大抵のことではない。しかし、彼にはその挑戦をする権利とチャンスが与えられたのだ。

 彼がフットボール選手としてNFLでプレーするに値するという評価を与えられた事実は重要だ。

 

 既にシャキールは、昨年新人ながらSの先発ポジションを獲得している。二人が同時にフィールドに立つとき、二人を分け隔てなく育てることに心血を注いだご両親は何を思うだろうか。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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