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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「チームのためならどのポジションでも」 ディアーズ初の米国人選手ブライアント

2018.5.1 12:44 生沢 浩 いけざわ・ひろし
BULLS戦でパスラッシュをかけるLIXILのLBブライアント
BULLS戦でパスラッシュをかけるLIXILのLBブライアント

 

 4月21日に富士通スタジアム川崎で行われた、Xリーグの「パールボウルトーナメント」の開幕戦で、BULLSと対戦したLIXILに新たな戦力が加わった。

 LBデリック・ブライアントだ。伝統のあるディアーズの歴史で初となるアメリカ人選手である。

 今やアメリカ人選手のXリーグ参戦は珍しくない。QBケビン・クラフト(IBM)やQBデビン・ガードナー(前ノジマ相模原)ら、NCAAの第一線で活躍した選手も多く来日している。

 そのなかで、鹿島時代を含めディアーズはこれまでアメリカ人選手の入団はなかった。上位スーパー9のチームで、アメリカ人選手の登録がなかったのはディアーズだけだ。

 

 「正式な選手登録という意味では、ブライアントはチーム初の外国人選手ですね」と富永一ヘッドコーチ(HC)は言う。

 「これまでも(外国人を)拒んできたわけではない。いわゆる『プロ契約』をしないというのがチームの方針で、職業を持っている選手でなければ入団させられなかったということ」

 ブライアントは英会話教室を展開する「Freecom」の教師として来日した。その後に関係者のつてでLIXILを紹介されたそうだ。

 

 「日本にもアメリカンフットボールがあると聞いたときは『本当?』って感じだった」とブライアントは言う。

 「ディアーズの外国人選手としてのパイオニア? そう言われるとプレッシャーだけど、こうしてまたフットボールができる環境に感謝したい。チームメートも一生懸命に練習する選手ばかりだし、最高の気分だ」

サイドラインでチームメートのLB安藤と談笑するブライアント
サイドラインでチームメートのLB安藤と談笑するブライアント

 

 

 ブライアントはNCAAディビジョンⅡのインディアナポリス大学でLBとしてプレーした。

 2017年に卒業した後はNFLのトライアウトに参加したが、いい結果は得られなかった。

 フットボールをあきらめて就職先を探している時に出会ったのがFreecomだったそうだ。これがきっかけで1年半ぶりにフットボールフィールドに復帰した。

 

 BULLS戦ではLBとして先発出場したが、DEのポジションからパスラッシュをかけるなど複数のポジションをこなした。

 「ポジションはどこで使うのがベターかを見定めているところ」と富永HCは説明する。「極端なことを言うとどこでもできる。まだ可能性としては伸びしろがある。夏に向けて試合で経験を積んで、もっといいパフォーマンスを見せてくれると思う」と手応えを感じている様子だ。

 

 インディアナポリス大学時代のスカウティングデータによれば身長は180センチ、体重は94キロ。Sで使うのも面白いサイズだ。

 「アメリカではMLB、WLB、DLとしてプレーした。チームが必要とするならどんなポジションでもやる。それがウオーターボーイであってもね」とブライアントは言う。

 「フットボールを離れて、初めて自分がどんなにこのスポーツを好きだったかが分かった。だから復帰できたことを神様に感謝したいし、どんなことでもするつもりだ」

 来日して約半年。まだまだ多くのことを学んでいる最中だという。

 

 「本当に東京は人が多いね。とくに朝のラッシュアワーにはびっくりした」と語るブライアント。「でもチームメートは親切にしてくれるし、英語ができる人が多くないからコミュニケーションが難しい時もあるけど、みんな助けてくれる」

 ただ、一つだけ困ったことがあるそうだ。「日本は食べ物の量が少ないよね。これだけが残念」と言って笑った。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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