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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

リポーターデビュー戦の苦い思い出 2006年パールボウル決勝

2013.9.9 10:29 小西 綾子 こにし・あやこ
2006年から国内アメリカンフットボールのリポーターを務める小西綾子さん
2006年から国内アメリカンフットボールのリポーターを務める小西綾子さん

 アメリカンフットボール中継のリポーターとしてのデビュー戦だった2006年のパールボウル決勝は、今でも思い出すと心が痛むような、苦い苦いものでした。

 中継リポーターは、試合中、フィールドの端に設けられ場所で、放送の映像をモニターで見つつ、マイクを持ち、放送席の実況アナウンサーと解説の方の話に割り込んでリポートを入れます。内容もタイミングも、誰からの指示もありません。自分でタイミングを計りマイクのカフを上げリポートを入れるのです。そして、できれば次のプレーが始まるまでにリポートを終わらせるのが理想です。

 これが、非常に難しいのです。さぁしゃべろうと息を吸うと次のプレーが始まります。「あー、駄目だった。よし、次!」。ファウルマーカーが投げ込まれました。放送席では反則についての話をしています。「うーん、このタイミングじゃないか。めげるな、次こそ!」と思っているうちにフォースダウン、パント。攻撃権が替わってしまいました…。

 事前取材はたくさんしました。ネタはたくさんあります。でも、入れられないのです。焦りばかりがこみ上げてきた私にはもう、実況アナウンサーと解説者の話が頭に入ってきません。試合がどう動いているのかさえも、さっぱりわからないのです。当然どうにかこうにか入れたリポートはどこかチグハグ。しかも伝えたいことをその場で短くまとめることができず、発した言葉はいわゆる「カミカミ」。正直もう逃げ出したかった。早く終わってほしかった。それはそれは長い3時間でした。

 情けなかった。何よりもわたしの取材に丁寧に答えてくださったコーチ、選手たちの話をこれっぽっちしか、いやこれっぽっちも伝えられなかった申し訳なさでいっぱいでした。早いものであれからもう7年が経ちました。

 いままでいったい何試合のリポートをしたことでしょう。あのときと比べたらずっとずっと余裕がもてるようになりました。でも、中継開始前にマイクを握ると、いつでもあのときの苦い記憶が蘇るのです。「気を抜くなよ。初心忘れるなよ」。いつも自分にそう言い聞かせて、中継に臨んでいます。ちょっぴり緊張しながら…。

多くの選手を取材している小西さん。高校時代に出会った選手が社会人で活躍するのを見ると、母親のような心境とのこと。
多くの選手を取材している小西さん。高校時代に出会った選手が社会人で活躍するのを見ると、母親のような心境とのこと。

2006年パールボウル決勝のパンフレットとキューシート。初心を忘れないために今でも大切に持っているそうです。
2006年パールボウル決勝のパンフレットとキューシート。初心を忘れないために今でも大切に持っているそうです。

フットボールの実況にも挑戦している小西さん。
フットボールの実況にも挑戦している小西さん。

NFLジャパンコンバインで元NFL選手にお姫様だっこされる小西さん
NFLジャパンコンバインで元NFL選手にお姫様だっこされる小西さん

今季もボウルゲームを中心に高校、大学、社会人の試合をリポートする小西さん
今季もボウルゲームを中心に高校、大学、社会人の試合をリポートする小西さん
小西 綾子 こにし・あやこ

名前 :小西 綾子 こにし・あやこ

プロフィール:国内アメリカンフットボール中継のリポーター、インタビュアー。大阪・豊中高時代のアメフット部マネジャーの経験を活かし、2007年シーズ ンから国内の試合を取材。08年シーズンからスカイAsports+で「小西綾子のホットサイドライン」を連載している。

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