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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

負けて泣くなら泣くまで鍛錬せよ 上級者はどんな時も力を出し切る

2013.9.27 15:34 中村 多聞 なかむら・たもん
社会人Xリーグのアサヒ飲料などでプレーしたRB中村多聞さん=撮影:makoto sato
社会人Xリーグのアサヒ飲料などでプレーしたRB中村多聞さん=撮影:makoto sato

 試合やチーム練習は、できる限りの準備をして万全の態勢で臨みたいのは誰しも同じですが、全てがウマく行く事って難しいですよね。たいてい理想通りに事は運ばないものです。

 例えば

・理想とする睡眠時間がとれない

・ 理想の栄養を摂取出来ない

・ 用具がしっくりこない

・ 宴席に呼ばれた

・ 仕事でミスって朝まで残業だ

・ 病気になった

・ 女房子どもの機嫌が悪い

などなど。「トラブル」は常に口を開けて待っています。

 しかしその時にどうするか? ナニが出来るか?が上級者と中級者の差です。他人のシューズや用具でも、二日酔いでも、けがしていても、天気が悪い、審判やコーチが不公平、味方がショボい、相手が凄い(注1)など、いかなる悪条件や理由があろうとも自分のベストを尽くさねばならない時に、何も迷わず困らず目もくれず本来の能力を出し切り相手を圧倒する。これが上級者(注2)です。

 で、1年か5年か10年かは人それぞれですが、競技者はずっと努力して来たわけですよね。前日や当日に少しのトラブルが起こっても「微々たる問題だ」と動じず強い心を持たねばなりません。それは今まで時間をかけてやって来た努力の質と量が心を支えてくれます。付け焼き刃的な練習や鍛錬しかしていない場合、トラブルが起これば乗り越える事は不可能でしょう。

 明日試合だからどーちゃらこーちゃら、ナーバスになっても結果はホボ同じ。カリカリキリキリ気をもまなくて良い(注3)ように、何年もかけてやり残しのない準備をしておく事が重要だと思います。

 自分の心をコントロールできるのは己だけです。誰にも恥じない誰にも負けない量の練習をやって来たと自分自身が本当に信じられるかどうかが重要です。そして今日は誰よりも自分が一番暴れてやるんだと強く決意し、自分の心やチーム関係者を含めた期待してくれている全ての人たちの気持ちと約束する事も重要です。

 練習の時に身に付いたハズの実力が試合当日に全て出せなければ、それは実力ではないのです。試合でできてこそ実力です。ここぞという時に出せてこそ実力です。二日酔いだと力を発揮できないレベルでは、鍛え方が足りません。

 結論! 負けて泣くなら毎日泣くまで鍛錬しましょう。

(注1)ニッポンでフットボールの試合をするといっても、相手はちょっと筋肉の多いサラリーマンか学生さんです。何も恐れる事はありません

(注2)NFLE時代の事ですが、ある日選手らと明日の練習が朝からあるにも関わらず、明け方までガッツリお酒を飲んだ事がありました。僕はもちろん二日酔いで気持ち悪く、一緒だった選手も朝食時に「気持ち悪い〜練習休みたい〜」という感じでした。ところが練習開始になると誰よりも良いパフォーマンスでいつも通りゴリゴリに暴れているのがその人だったのです。彼はポジション変更のためにマイナーリーグで実戦練習に来ていたNFLのスター選手でした。ああこれが本当の上級者か、と感心したものです

(注3)前の日に飲みに行かない事だけが準備ではないのです。でも、仮に僕が監督でヘタクソが試合前日に飲みに行っていたら、その選手はどうなるか分かりませんけど

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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