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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「スキーでTD増量や!」 多聞流スキルアップの方法

2014.2.14 6:32 中村 多聞 なかむら・たもん
コブを攻める男子モーグルで2連覇のアレクサンドル・ビロドー=ソチ(共同)
コブを攻める男子モーグルで2連覇のアレクサンドル・ビロドー=ソチ(共同)

 やってますねー、ソチオリンピック。オリンピックやで、オリンピック! オリンピック選手になりたかったなー! そうです、オリンピックっちゅうのはフットボール界からはほとんど誰も出ていないとんでもない世界ですわ。出てみたかったなーって思います。

 個人競技に団体競技にいろいろありますね。本気で戦う競技なので勝ったり負けたりいろいろで、見ているだけのわれわれはホントに楽しいですね。

 でも国を挙げて応援している雰囲気はあるけれど、選手を「敬う」わけではなく、実はニッポン人を応援して(いる気になって)自分が楽しんでいるだけですよね。メダル取れなくても負けちゃっても「よく頑張ったね」だけではダメなんですかねえ。

 テレビで見て勝手に盛り上がって勝手に残念なだけやのにね。スポーツ選手が有名だからサイン欲しい、写真撮りたいんじゃなく、その才能と努力(と結果)を「敬える」国になればいいのになと、めっちゃ思います。

 テレビ局やらのインタビューしている連中は、その競技の歴史もルールも取材対象者のこともロクに知らず失敬な質問を投げまくってるし、ちゃんとプロとしてアスリートを敬った仕事をやってほしいわホンマ。

 で、フットボールのハナシへと強引に持って行きますね。題して「スキーでタッチダウン増量やで!」ですかね。

 何の事かと言いますと、僕は選手時代にランニングバック(以下RB)の練習として子どもの頃からたしなんだ「スキー」にも真剣に取り組んでいました。

 スキーだけではないですが、大人になってから始めてもほとんどトップ競技者にはなれず、雪国に生まれて育った人が大部分を占める非常に奥の深い難しいスポーツです。

 モーグル競技なども派手なエアーに注目が集まっていますが、ホンマの難しさはエアーに入るまでの速度調整やコース選択、そしてスキー操作そのものの技術にあります。そこらへんを理解した上でこの「スキーでタッチダウン増量やで!」をお読み下さい。

 で、僕がスキーを練習というかストレングスに組み込んだ理由はいくつかあります。

・ 毎日同じような鍛錬では飽きちゃうので環境を変化させることにはじまる。

・ バイクでは早過ぎるが、スキー程度だと動きながらの視力というか「モノを見て判断する」という訓練に丁度いい。

(理由)→RBは状況を判断して自分を思った所に思った時間に移動させる技術が非常に重要なので、「見る」という練習がとても大切ですが、ニッポンのセンパイのほとんどは教えてくれません。

・ ミスしてこけても安全なので、こけてしまうギリギリの手が雪面に当たるくらいまで体をバンク(コレが難しい)させて「こけるかこけないか」の瀬戸際でバランスを取り続ける練習。

(理由)→自分を知るための訓練です。自分の体をコントロールするのは自分ですが、自分がどこまで傾けば傾いていない時と体の操作方法が変わるのかを、脳みそに教え込み脳みそから手足への指示を間違えないように送るため。

・ ぐるんぐるんにこけて脳みそが揺れまくっていても、すぐに開始される次のプレーに意識の全てを持って行く練習。

(理由)→頭を打って1秒でも意識が遠のいたり焦ったりすると次のプレーを全力でできなくなるので、軟らかいスキー場でたっぷりこけまくって訓練する。

・ コブ斜面を猛烈な速度で駆け下り、モーグルの真似事をして「抜重と加重」の調節力を強化する

(理由)→先に説明した通り、コブの急斜面でスピードを出すにはスキー技術はもちろんですが体中のバランスが大切になるので、試合中にタックルされてヨロヨロしそうな瞬間と似ています。そこでスコーンとこけない為に、こけそうでこけない練習が必要。抜重と加重は説明が難しいので割愛。

・ 同じくコブ斜面で、下半身の伸縮だけで上半身の重心を上下させずに運動を継続する訓練。

(理由)→足から伝わって来る全ての衝撃を吸収して即次の蹴りに力を出す為に必要+重心の位置を自分の意識の中で操作する+頭が揺れなければ「視野」が安定して判断力が鈍らない。

・ ハーフパイプで空中感覚を養う

(理由)→横向きだろうが逆さまだろうがどんな状態で宙を舞っていても、常時平衡感覚を保ったまま運動を継続できるようにと、踏み切り時に力をかけないで、空中で静止した状態から姿勢を変える練習。つまりハードにタックルされてこけると決まった後に、上下前後を認識し続けて少しでも前に進んだり、ブラインドの角度からのフォロータックラーを早く発見してボールを落とさないようにするため。

 ―などなど他にもいろいろありますが、オリンピックを見ていて急に思い出して書いてみたらこんなもんでした。

 そもそも、かなりのスキー技術がないと不可能な鍛錬ですが、社会人フットボールの練習時間はとても少なくて、チーム内での個人技術向上専門の時間など月に1時間あれば多い方です。

 身体的な才能に恵まれていない僕のような普通の人間は、ありとあらゆる情報(可能性)にアンテナを張り巡らせて、光が少しでも見えたら自分と自分の考えを信じて全力で猛進する以外トロフィーをもらえる可能性はありません。他のスポーツもいろいろいろいろやりましたが、また機会をみつけて書くことにします。ではまた来週!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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