メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

史上2人目の2年連続ハイズマン賞なるか フ州立大QBウィンストン

2014.7.16 9:51 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
昨季、「ハイズマン・トロフィー」を獲得したフロリダ州立大のQBウィンストン(AP=共同)
昨季、「ハイズマン・トロフィー」を獲得したフロリダ州立大のQBウィンストン(AP=共同)

 今まで大学名ばかり読ませて、誠に申し訳なかった。いよいよ今回から選手名や指導者の名前を登場させて、今季の米大学フットボールを展望する。

 しかし、全米大学体育協会(NCAA)傘下の1部上位128校の大黒柱の選手や、スター選手をどうピックアップするか。その物量共に膨大な資料をむやみやたらひっくり返してみるのも芸がない。そこで私は私なりの手法を30年、40年昔から採ってきた。

 何も難しくはない。各イヤーブックの雑誌が真っ先に載せている、オールアメリカをピックアップするのである。1誌では心もとないので、手元のものを全部並べる。1軍だけではなく、2軍、3軍も寄せ集めると、結構な「リスト」が出来上がる。各リーグの「オール○○○」も利用すると、ほぼ完璧なスター選手年鑑だ。

 小理屈を少し並べる。「オールアメリカ」についてである。これを全く同じ意味の言葉として「オールアメリカン」と表現することもある。いずれも間違いではない。アメリカンは形容詞だけではなく名詞でもあって、これはこれで正しい。では爺さん何にこだわっているのか。ただ一つ。ほかの国の「オール×××」に併せて「オールアメリカ」で統一しようという提案である。

 「オール…」はカタカナだが日本語への翻訳である。全日本をカタカナにするとオールジャパンとなる。オールジャパニーズという翻訳語はない。

 他の国のでも習慣的に同様で、全フランス、オールフランスとして、全フレンチ、オールフレンチとはしない。全英、オールイングランドで、オールイングリッシュではない。だから全米、オールアメリカで、「オールアメリカン」とすると、という話なのである。

 細かすぎると言われればその通りで、反論する気はない。だが、長い間の習慣で、文章の中では変化をつけるために、表現を二通り、三通りと変えてきた。反面、表記の方は二通り出さないように、神経を研ぎ澄ませてきた。

 こんな人間なので「アメリカ」と、「アメリカン」とを、どっちつかずで、並べて使いたくないという主張をしてみただけである。

 3冊の雑誌の見出しを比べてみた。2冊は「All America Team」で1冊が「All American Team」だった。こだわるのは性分である。笑い飛ばしていただきたい。

 そのオールアメリカだが、私はQBを真っ先に見る。先日のパールボウルではないが、オービックの菅原俊さんのようなセンスのあるQBがいてこそ、タイトルを手に入れることができる。海の向こうだって同じこと。試合に対する読み、切り口、判断力、さらにはひらめき、牽引力。こうした「能力」に秀でたQBをまず紹介したい。

 一番手は大西洋岸リーグ、フロリダ州立大のジェーミス・ウィンストンを挙げねばなるまい。昨季、1年生ながら全米最優秀選手賞の「ハイズマン・トロフィー」を獲得したことは、ご記憶に新しいだろう。そして彼がリードする高性能の攻撃が、フロリダ州立大を全米チャンピオンに押し上げたのもまた事実である。

 ウィンストンは無論、今季もハイズマン賞の最有力選手であることに変わりはない。連続受賞を果たせば、1974、75年に受賞したオハイオ州立大のRBアーチー・グリフィン以来、史上2度目の快挙となる。

 グリフィンは3、4年生での受賞だったので、その先はなかったが、ウィンストンはまだその先が2年間あるので、そこでどうするか。話題は尽きまい。

 ついでにフロリダ州立大の話をしてしまおう。ウィンストンはパスのレーティングで184.8と、2位以下を大きく引き離して全米1位となった。無論彼一人だけでできることではない。他のポジションとのつながりが大きいのである。

 昨年同様、この秋もレシーバーではTEのニック・オレアリー。プロテクトでは、トリー・ジャクソン、キャメロン・アービングといった、全米級のOLらの存在がものをいうに違いない。ウィンストンが能力を発揮できる条件は整っている。前回のランキングの話でフロリダ州立大が首位に挙げられたのもまた、当然といえよう。

 ウィンストンのライバルQBを少し上げておこう。まずは太平洋12大学のオレゴン大をリードする3年生のQBマーカス・マリオッタが目立つ。実は3誌のうち二つまでがマリオッタをオールアメリカの1軍に入れており、あとの1誌がウィンストンを推した。

 マリオッタは昨季後半にひざを痛めて存分の働きはできなかったが、最後のアラモボウルではテキサス大に30―7で快勝する原動力となり、健在ぶりを印象づけた。

 NFLからは在学枠を使っての1位指名の可能性があったが、母校の全米王者と自らのハイズマン賞への望みを果たすためにプロ入りを断り、残留を決めた。

 投げかつ走れる万能のQBで、パスとランを合計するトータルオフェンスで、全米のベスト10には楽々と入ってくる実力の持ち主である。この夢を果たせるかどうか。各誌ともオレゴン大の守備力が鍵と、筆をそろえている。

 ビッグ10ではオハイオ州立大の4年生ブラクストン・ミラーの評価が高い。ひざに軽い故障を持ってはいるが、正確なパスと、ミラー本人のランともに定評がある。

 オハイオ州立大自体が、Big10の優勝候補だけに、波に乗れば全米選手権への道もすんなり開ける可能性は高い。となればハイズマン賞もおのずとついてくる可能性がある。

 あまりQBのことばかり注目すると、他のポジションがおろそかになる。有力QBの名前をもう少し挙げて、今週は打ち止めにしよう。次週はRBらを中心に、他のポジションの好プレーヤーなどにも触れて見たい。

 で、QBに戻るが、南東リーグではオーバーン大の4年生、ニック・マーシャルの評価がとみに高い。短大から進学してきたQBだが、攻撃の組み立てに優れる。

 ビッグ12ではベイラー大の4年生ブライス・ペティの肩が注目の的。レシーブ陣の今一つのレベルアップが鍵と言われている。

 Big12の優勝候補で、全米での高ランクが予想されるオクラホマ大は、QBに2年生のトレバー・ナイトを起用する。昨季のシュガーボウルで抜擢され、アラバマ大に45―31と競り勝った実績を持つ。

 太平洋12大学ではマリオッタのほかにも、カリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)の3年生、ブレット・ハンドリーがいる。力強いプレーを展開するのが売りで、攻守のバランスが取れているチームの申し分ない「リーダー」と言える。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

最新記事