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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

選手集めが最重要課題 X3新規参入の「ゼロファイターズ」

2015.5.14 12:23 小座野 容斉 こざの・ようせい
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先頭に立ってトレーニングに励む伊是名代表=撮影:Yosei Kozano
先頭に立ってトレーニングに励む伊是名代表=撮影:Yosei Kozano

 5月10日、好天に恵まれた日曜日の朝、千葉市内のあるグラウンドに男たちが三々五々集まってきた。社会人XリーグのX3に新規参入する「ゼロファイターズ」の練習が始まるのだ。

 社会人としては日本のアメリカンフットボール界に7年ぶりに誕生した新チームは、日本体育大学やアサヒビール・シルバースターなどでRBとして活躍した伊是名隼人さんが代表となり、現役時はリクルート(現オービック)シーガルズ、コーチとしては母校の駒沢大学や東京ガスクリエイターズ、昨年社会人準優勝のIBMビッグブルーでも活動した大村聡一郎さんがヘッドコーチ(HC)として率いる。

 この日参加したのは17人。ミーティングの後、午前9時から、選手兼任の伊是名さんや、OL五十嵐久也選手らを中心に練習はスタートした。

 陽気に声を掛け合いながら、次々にメニューをこなしていく。重さ20キロの砂袋を持ち上げたり、投げたりという動きや、地面に這わせた鉄パイプに体を鎖で結び付けた状態でステップを繰り返したりという、独特でハードな練習が、延々と続いた。

 いずれも、大村HCが考案した独自のトレーニングだ。時間も綿密に組み立てられ、水分補給を除けば、ほぼ3時間、休む間がない。

 大村HCは「人数が少ないので、とにかくけがを避けたい。下半身のトレーニングを中心に、徹底的にファンダメンタル強化を目指している」という。

 日曜日の練習は人工芝のグラウンドだが、土曜日には稲毛浜の海岸で走り込みなどを行っている。アメフットのストップアンドゴーの動きでは、人工芝だと衝撃が膝や足首に来てしまう。ブランクがあって体ができていない選手も多いため、負傷につながりかねない。

 しっかり踏み込んで、地面を蹴らないと動けない砂浜で走り込み、グラウンドでは、じっくりとした動きで下半身の強化に努めている。

 大村HCは母校や社会人チームをコーチする中で、自分の能力を出し切っていない選手を多く見てきた。今ここに集まっている選手たちは、ポテンシャルはさまざまだが、もっと多くのものを引き出してやりたいという。

 ゼロファイターズは6月13日に、大井第二球技場(東京都品川区)でX3のクラブオックス川崎AFCとの初戦が決まっている。

 まだ専属のコーチングスタッフが集まっていない状況で、大村HCがオフェンスコーディネーター的な役割も兼ねつつ、X1で経験のあるDBや、大学でシグナルコールを出していたLBがディフェンスを見る形になるという。

 練習の翌々日、伊是名代表にチーム作りの現状を聞いた。チームを結成するに当たって、他の社会人チームで活動中の選手を引き抜くことは「そもそも考えていなかった。それをしたらチームを増やした意味がない」という。

 選手の募集は、個人的なつながりが基本だ。加えてチームのホームページから応募してきた選手もいる。体力づくりが中心の練習は「ブランクのある人たちを集める。だから体力がないと話にならない」。それだけでなく「やるからにはトップを目指す。1部でもプレーできるような練習方法を考えた」という。

 5月中旬現在、選手は25人。X1でプレー経験があるのは自身も含め、5人ほど。X2、X3、関東学生1部などのレベルでプレーしていた選手は15人になる。

 ブランクが3年ほどの選手が多い。不完全燃焼のまま、アメフットからいったん退き、ブランクの間やりたいという思いを心のどこかで持ち続けていた選手たちと、今回のチームの立ち上げが結びついたと伊是名代表は語る。

 ポジション別では、攻守のライン、RB、LB、DBはある程度そろってきた。厳しいのがQB。「何とかなると思っていたが、甘かったかもしれない」と、高校時代に経験を持つDBの選手を起用する予定だという。さらにレシーバーも不足している。現段階ではパスの練習がほとんどできていないようだ。

 6月13日のゲームは、伊是名代表にとっても想定外だった。春は試合ができるとは思っていなかったからだ。だが、より具体的な目標ができたのは「ラッキーだ」という。

 「協会から『やってみますか』と言われた。これはテストマッチ。試合ができるチームであると証明しなければならない。そういう機会を与えられたのはありがたいお話だったと思う」という。

 初戦まで約1カ月。秋シーズンの登録メンバーの締め切りは7月末だ。伊是名代表は「純粋にフットボールが好き。ゼロからスタートする覚悟がある。この二つに共感できる選手に、ぜひ来てもらいたい」と呼びかけた。

DL、LBをコーチする大村HC=撮影:Yosei Kozano
DL、LBをコーチする大村HC=撮影:Yosei Kozano

重さ20キロの砂袋を用いたパスプロテクションの練習=撮影:Yosei Kozano
重さ20キロの砂袋を用いたパスプロテクションの練習=撮影:Yosei Kozano

鉄パイプを使った独特の練習=撮影:Yosei Kozano
鉄パイプを使った独特の練習=撮影:Yosei Kozano

体力づくりに主眼が置かれた現在の練習=撮影:Yosei Kozano
体力づくりに主眼が置かれた現在の練習=撮影:Yosei Kozano
小座野 容斉 こざの・ようせい

名前 :小座野 容斉 こざの・ようせい

プロフィール:1964年生まれ。早大卒。89年毎日新聞社入社。写真部、編集総センターなどを経て現在はデジタルメディア局。ニュースサイトの編集に携わ りながら、主に社会人Xリーグを撮影。アメフット観戦歴は75年から。NFLのスティーラーズと、中村多聞氏が経営する東京・西麻布にある「塩屋」のもずくをこよなく 愛する。

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