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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

山本慎治のスウェーデンのアメリカンフットボール事情⑤

2015.7.1 13:23
試合前のウオーミングアップ=撮影:山本慎治さん
試合前のウオーミングアップ=撮影:山本慎治さん

「アウェーでの開幕戦」

 アウェーでの試合の時の移動についてですが、相手がストックホルムとその近郊のチームだと車で分乗して移動するなどして現地集合となります。遠距離のチームとの対戦の場合はチャーターバスでチーム全員が移動となります。

 去年は、スウェーデン南部のマルメまでの680キロのバス移動に帯同しました。今年の開幕戦は、ウプサラから西に280キロのカールスタッドまでバス移動でした。スウェーデン中部にはあまり高い山がなく、単調ですが美しい牧場や林の風景がずっと続きました。

 2015年5月3日、午後2時前に現地到着。天気は晴れ。

 対戦相手は、スーパーシリーズ5連覇中のカールスタッド・クルセダーズです。去年の成績はリーグ戦10勝0敗、プレーオフも2連勝と負けなしです。

 チームのエースであるスウェーデン代表の正QBは、とにかく大きくてパワフルでタフです。タックルされてもそのまま引きずって突進、そして要所で的確なロングパスを投げます。

 去年のウプサラでの対戦では完敗でした。しかし、今年はチーム力が拮抗しています。

 午後4時、待望の2015年のシーズンがスタートしました。

 試合前半を7―14の1TD差で折り返しました。86ersの今季初得点は、新加入のアメリカ人QBジェフ・ウェルシュから、新加入のセルビア人WR、ストラヒンヤ・ステポジッチへの難しいタッチダウンパスが決まりました。

 実際のところは、初戦の緊張からか、両チームともに結構ミスが出たために序盤は接戦になった、という印象でした。

 ヘッドコーチ(HC)は、今日は多くの選手を使いたいと試合前に話していましたが、その言葉通り、後半初めからオーストラリア代表ジャレッド・ステグマンがQBとして登場、ヨーロッパでのデビューを果たしました。

 後半も、また落球や反則などのミスがでて、ピンチを幾度か迎えました。ここでディフェンスがピンチを切り抜け、双方得点がないまま試合が進行しました。

 4Q、残り時間も少なくなってきたところで、ステポジッチへのパスが決まり敵陣深くに侵入し、残り数分で数ヤードを残すのみとなりました。

 そして次の攻撃、エンドゾーンでTEがフリーになり、ステグマンからストライクの送球が彼の胸元へ。これでタッチダウンパスが決まった! とみんなが思ったのもつかの間、TEがこれを落球してしまいました。

 その次のプレーでディレイ・オブ・ザ・ゲームの反則をとられ罰退となり、最後残り数秒のプレーではレシーバーがフリーにならずQBがサックされて、結局得点することなく試合は終了しました。7-14での敗戦。歓喜の敵陣。

 試合後のサイドラインでしゃがみこんで一人立てないそのTEを励まして、フィールドでのセレモニーに送り出しました。

 この試合が終わって2日後、予定のミッションを終えた4人のアメリカ人臨時コーチはアメリカに帰国しました。

 試合のスタッツでは、パスとランの獲得ヤード数どちらも86ersがクルセダーズよりも上でした。今シーズンは去年とは違うということが数字でも実証されました。

 余談ですが、その試合後しばらくして、クルセダーズのHC兼オフェンスコーチが解雇されました。

 ところで国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)ヨーロッパが主催し、ヨーロッパのドイツとオーストリア以外の国の上位のクラブチームが参加する「チャンピオン・リーグ」という大会が開催されています。

 今年のフォーマットは全12チームが4グループに分かれて戦い、そのグループのトップ4チームがファイナルトーナメントに進むという方式です。

 クルセダーズはその大会でグループリーグをトップで通過しています。ヨーロッパでも屈指の強豪と五分の戦いをできたことで、これまでの取り組みの方向性が間違っていなかったこともはっきりしました。

 気持ちを切り替え再び練習、そして次の試合は対ストックホルムです。

(つづく)

敵地でクルセダーズと対戦した86ers=撮影:山本慎治さん
敵地でクルセダーズと対戦した86ers=撮影:山本慎治さん

カールスタッドへ向かうバスから見える風景=撮影:山本慎治さん
カールスタッドへ向かうバスから見える風景=撮影:山本慎治さん

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