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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

山本慎治のスウェーデンのアメリカンフットボール事情⑧

2015.7.22 11:56
本拠地でのローディアーズ戦、86ersのサイドライン=写真提供・山本慎治さん
本拠地でのローディアーズ戦、86ersのサイドライン=写真提供・山本慎治さん

「トップリーグ新規参入チームとの対戦」

 アメリカンフットボール世界選手権の全日程が終了しました。優勝はアメリカ、2位が日本となりました。日本代表チームの皆様、お疲れ様でした。

 アメリカに2敗したものの、メキシコに完勝して、アメリカに次ぐ力を世界に示しました。

 そして、ウプサラ86ers所属のオーストラリア代表QB、ジャレッド・ステグマンは4試合で先発、韓国相手に2勝、ブラジル相手に2勝をあげ、2試合でMVPとなりました。これも非常にうれしいニュースです。

 アメリカの圧倒的な強さ、そして世界への広がりを感じさせる大会となりました。

 私個人としても、昨年ウプサラの世界大学選手権大会で一緒に戦った選手、スタッフが数人この大会に参加しており、この大会でも現地にいるつもりで気持ちをいれて応援することができました。

 スウェーデンスで開催されなかったことは個人的には非常に残念でしたが、アメリカで開催されたことは選手にとっては意義があったことと思われます。しかし、アメフトの世界普及という意味では今後は他の国々での開催が望ましいと思います。

 2015年、スウェーデンアメフトトップリーグ、スーパーシリーズ、3試合を終了した段階で、私の帯同するウプサラ86ersは2勝1敗と、ある程度想定した範囲の滑り出しとなりました。

 4試合目は5月22日の金曜日、今年スーパーシリーズに新規参入した ヴェステロース・ローディアーズとホームでの対戦です。この日、チームカラーである赤いジャケットを着てきたら、入場料は無料、という企画が行われました。

 より多くの観客に試合を見てもらおうという試みです。フェイスブックなどでこの企画が広報されました。

 ところで、86ersの本拠地のスタジアム(名称Students arena)は、サッカーならびに陸上競技場です。地元のサッカーチームで、現在スウェーデンサッカーリーグの下部リーグで戦うIKシリウスの本拠地でもあります。

 1909年に設立され、収容人員は6000人です。ウプサラ中央駅、町の中心から歩いて20分の場所にあります。施設は老朽化しておりますが、天然芝のフィールドはサッカー、そしてアメフトの試合会場として高いクオリティーを保っております。

 そして、シーズン開始前に朗報が届きました。このスタジアムが、今年の9月6日に開催されるスーパーシリーズの決勝戦の会場として選ばれました。これはチームにとって大きな励みとなりました。地元で開催される決勝戦を目指す、というモチベーションが増えました。

 残念ながら企画の効果はほとんどなく、通常の入場者数と大きな違いはありませんでした。

 テレビなどのメディアで報道されることがほとんどないため、チームの知名度も高いわけでなく、いわゆるファンクラブもなく、町の住民もアメフトを生で観戦して楽しむという経験もほとんどないので、これは仕方がないのかなと思いました。ただ、いつもよりは赤が目立っていたようには思いました。

 ヴェステロース はストックホルムの西約100kmに位置する、人口約11万人の都市です。ローディアーズは12年から3年下部リーグのスーパー1でプレーし、昨年は優勝、今年からトップリーグ、スーパーシリーズに参戦してきました。

 インポートプレーヤーとしては南カリフォルニア大学に在籍していた選手がQB、DBとしてプレーしています。

 試合開始4分で86ersが最初のタッチダウン。相手の攻撃も封じ、第1クオーター終了時に12―0、その後も得点を重ね、第2クオーター終了前に37―0のスコアになったところで、ランニングクロックとなりました。 

 ランニングクロックとは、試合の勝敗が決したところで、時計を止める状況でも時計を止めずそのまま試合を続行させる方式です。

 スーパーシリーズでは、35点差がついた時点で始まります。ちなみに、昨年の世界大学選手権大会でも同じルールが大会途中から合議の結果採用され、日本代表は2試合でランニングクロックとなりました。

 マーシールール(無意味な大量得点差の試合を避ける慈悲的なルール)とも呼ばれております。もちろんこのルールが採用される場合、得失点差が順位決定に関わらないという条件が必要となります。

 第3クオーターにパスからのタッチダウンを決められて、零封は逃したものの、46―7で勝利を収めました。終了間際にはアメリカ人LBキャメロン・グラッドがプレッシャーをかけてセーフティーを記録して、さらに盛り上がりました。

 この試合でエースWR, ストラヒンヤ・ステポジッチが四つのパス、そして一つのパントリターンからの計5タッチダウンを記録しました。

 QBも後半途中からステグマンに代わり、ここまですべての試合で2人のQBとも出場の機会を得ました。

 この日もキッカーが不調で、PATを前半2回失敗して後半はキッカーが代わりました。これでチームは3連勝となり、4試合終了時点で3勝1敗となりました。

 試合が終わったフライデーナイト、町のクラブに多くのチームのメンバーが集結、楽しい時間を過ごしました。気分もリフレッシュして、月曜日からまた次の試合への準備です。

 5試合目は、リーグ5連覇中の王者、ここまで無敗のカールスタッド・クルセダーズとのホームでの試合です。

 開幕戦ではアウェーでの戦いで7-14で敗れたものの、実力が拮抗していることは証明されました。ホームでリベンジを果たし、プレーオフ出場へ一歩近づくという目標に向けて、さらなる厳しい練習に取り組みました。

(つづく)

山本慎治(やまもと・しんじ)プロフィル

 1969年生まれ。外科医。日本、アメリカの施設で腹部一般外科、臓器移植外科で勤務した後、2005年からスウェーデンに移住、現在はウプサラ大学病院移植外科に外科専門医として勤務。14年の第1回アメリカンフットボール世界大学選手権の日本代表チームに帯同。その後、スウェーデンのアメリカンフットボールトップリーグ「スーパーシリーズ」所属のクラブチーム 「Uppsala 86ers」のチームドクターを務めている。

86ersのオフェンス=写真提供・山本慎治さん
86ersのオフェンス=写真提供・山本慎治さん

6000人収容の86ersのホームグラウンド=写真提供・山本慎治さん
6000人収容の86ersのホームグラウンド=写真提供・山本慎治さん

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