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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

「未完の大器」率いる神戸大マルチ攻撃 注目される関大守備の対応

2015.9.11 15:05
神戸大のマルチオフェンスを操るQB櫻井太貴
神戸大のマルチオフェンスを操るQB櫻井太貴

 関西学生リーグ1部は今週末、第2節の4試合が行われる。関学大と京大が対戦する伝統の「関京戦」がこの時期に行われるのも珍しいが、もう一つの注目すべき対戦カードが13日に神戸・王子スタジアムで行われる関大―神戸大の一戦だ。

 QB櫻井太貴が率いる神戸大は、今季のリーグ戦で台風の目となりそうな勢いがある。

 神戸大は初戦で近大を28―16で破った。春のオープン戦で龍谷大を完封するなど前評判の高かった神戸大だが、この試合で際立っていたのが徹底したランオフェンスだ。

 セットバックからのトリプルオプション、ショットガンからのスピードオプションなど全プレーの83%をランが占めて、ロングゲインは少ないものの、QB櫻井、RB平井康大らが粘り強く走り続けた。

 オプションを止めるためには、誰がQBにアタックして誰がRBをマークするのか守備の役割分担におけるルール決めと、反復練習によるルール遂行の徹底が必要になる。

 対戦する守備としてはこの作業を2週間で行うのも大変なのだが、パスについても警戒を怠ることができない。

 182センチ、92キロ。櫻井はサイズと強肩、走力を兼ね備えたQBで、下級生の時から将来を期待された選手だったが、過去3年間はけがもありポテンシャルを生かし切れずに「未完の大器」と呼ばれてきた。

 しかし、副将として臨む今季はコンディションの充実ぶりがうかがえる。試合を通して正確にコントロールされたパスを通したのはもちろん、先制点を奪ったシリーズでリーダーとしての成長が垣間見えた。

 ゴール前5ヤード、味方の意思疎通ができておらず、「イリーガルモーション」の反則が発生しそうな瞬間に、櫻井がタイムアウトを要求したのだ。もしもあの場面で5ヤード罰退していたら、TDを取れる確率はぐっと下がっていただろう。とっさの冷静な判断でミスを未然に防いだ、隠れたファインプレーだった。

 対する関大守備は、初戦で龍谷大を完封した。守備フロントが春から大きく成長しているのをはじめ、最後尾を守る主将のDB森岡良介に安定感があり頼もしい。

 龍谷大が試みたパント隊形からの第4ダウンギャンブルも、森岡が鋭い上がりでタックルに仕留めて、ダウン更新を防いだ。

 神戸大は初戦で予想以上にランが出たため、手の内を全て見せずに関大戦に臨むことができる。おそらく櫻井のパスを中心としたゲームプランを複数用意しているだろう。

 関大のディフェンスとしては、オプション対策をしっかりやりながらも、それらのランプレーの裏プレーとなるプレーアクションパス、スプレッドフォーメーションからのオーソドックスなパス攻撃への対応も準備しておかなければならない。頭の整理も含めて守備選手の負担は大きい。

 今季の打倒関学大の一番手と見られている関大は、春から関学大と立命大を意識した取り組みを続けているはずだ。

 一方の神戸大は上位進出を目指して関大、立命大、近大にフォーカスしているだろう。今まで準備してきた作戦を13日の関大戦に全てぶつけてくるはずだ。

 学生屈指のパスの精度を誇るエースQBの石内卓也の存在を筆頭に、総合力では関大に分があるが、成長した櫻井が中心となった神戸大のマルチオフェンスが機能すれば、最後まで競り合う試合展開も十分にありうる。

 試合中のアジャスト能力も大事だが、関大のディフェンス陣が全貌が見えない神戸大のオフェンスに対して事前にどのような想定をし、ゲームプランを立て、2週間の練習でいかに有効な準備をできたかが試合結果に表れることになるだろう。今季の関西リーグを占う注目の一戦。勝負は既に始まっている。(共同通信社 松元竜太郎)

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